高笑いが止まらない岸田派 

対照的に会心の表情だったのが、麻生、菅両氏とキングメーカーを争う岸田首相だった。

総裁選前日の26日午後、岸田グループ内にこんな首相の支持が飛び交ったのだ。岸田派国会議員秘書がこう証言する。

「決戦投票で岸田グループとしてどのような投票行動をとるのか、アメリカからの外遊帰国後も音沙汰なしだった岸田首相が突然、だれであろうと1回目投票で1位になった候補に岸田グループとして投票をしようとの呼びかけがあったんです」

岸田首相(本人Facebook)
岸田首相(本人Facebook)

この指呼びかけの意味することは「事実上の石破氏への投票指示だった」と指摘するのは前出の政治部デスクだ。

「党員の投票も反映される1回目投票こそ民意であり、それを尊重して決選投票では1位候補に投票することになったというのが、岸田首相周辺の説明でした。

この言い分なら岸田グループが派閥による数字合わせに動いたという批判を浴びずにすむ。

ただ、その時点ではだれもが1回目投票では地方人気の高い石破氏がトップに立つと考えていた。つまり、1位候補に投票せよという呼びかけはイコール”石破に投票せよ”という指示なんです」

その真意を汲んだ岸田グループ議員は、1回目投票で予想を覆して高市氏が1位になるというサプライズにも動じず、石破候補に票を投じたと見られる。

「靖国参拝継続、対中国外交の強硬路線化など、高市さんの政策は自民内でも最右派。

その高市さんが首相では穏健保守層などが離反し、総選挙は戦えないというのが岸田首相の持論。対中関係を重視する公明党も高市政権誕生には消極的だった。

そこに直前の岸田首相の指示で決戦投票では岸田グループは結束して石破支持に回った。それが石破氏の議員票143票積み増しとなって現れ、決戦投票での大逆転につながったというわけです。

これで岸田グループの主流派入りは決まった。石破新政権では岸田派は閣僚ポストや党人事でかなりのポストを得られるのではと期待しています」(前同)

岸田派は高笑いが止まらないのではないか?