ゴミ有料化を20年前から行なっている多摩地域
ゴミ処理の責任はそれぞれの市町村にあり、具体的に政策を打ち出すのもそれぞれの自治体。都はあくまで、技術的援助やアドバイス、支援をするという立場であるという。
そのため、もし23区で家庭ゴミ有料化になったとしても、値段を決めるのは各区であり、料金が23区で一律になるのかも現時点では不明。ただ、有料化する際は、23区すべてで同時にスタートするという方針ではあるそうだ。
一方で、ゴミ問題の先進地域と呼ばれる東京の多摩地域では、すでに家庭ゴミ有料化の取り組みを行っている。その中の一つ、八王子市の資源循環部・ごみ減量対策課の担当者に話を聞くと、20年前に家庭ゴミ有料化をして以来、確かな効果が得られていると返答があった。
「有料化をはじめたのは2004年からです。八王子市では有料化と合わせて、ゴミを個別回収する取り組みもスタートしました。きっかけは今回の23区と同じで、最終処分場がひっ迫し、危機感があったからです。政策実施後は、可燃ゴミ・不燃ゴミは有料ですが、資源ゴミは無料なのもあって、市民の方々がしっかりと分別してくれるようになりました。ゴミに対する意識がどんどんあがっていると感じます」(八王子市、資源循環部・ごみ減量対策の担当者、以下同)
政策実施前の2003年と、20年後の2023年を比べると、総ゴミ量は20万7000トンから、14万3000トンにまで削減。また、有料のゴミ袋を使って各家庭が出している可燃ゴミと不燃ゴミに限定すると、12万9000トンから、8万800トンにまで減少。おおむね、37%の削減につながったそうだ。
ただ、ゴミの有料化をめぐっては、23区の住民から反発する声があがっているように、当初は八王子市でも市民から抵抗を示す声が出ていたようだ。
「最初は、ゴミ有料化をすることで不法投棄が増えるのではないか、実質的な税金の二重取りではないのか? といった意見をいただきました。しかし不法投棄に関しましては、最初こそ少しありましたが、監視カメラをつけたりして対策を強化していましたので、その後はすぐに収まり、大きな問題にはなりませんでした。また税金の二重取りとのご指摘に関しましても、ゴミ削減に向けての費用とさせていただき、税収を増やす意図での有料化ではございません」