なぜ防犯カメラの映像が出回るのか…
ヒットマンに強襲された池田組はこれまでも、一連の分裂抗争に伴う襲撃をたびたび受けてきた経緯がある。2016年5月には、岡山市内でナンバー2の幹部である若頭が六代目側の組員に射殺され、2020年5月にも、後継の若頭が本部事務所前で同じく六代目側の組幹部に襲われて重傷を負っている。
その後、池田組は神戸山口組から離れ、同じく神戸側から離脱した「絆會」と親戚団体として連携する道を選んだが、2022年10月にも、岡山市内の理髪店で組長が六代目側の組幹部に襲われている。六代目側が執拗に池田組への攻撃を繰り返す背景には何があるのか。
「六代目側が警戒しているのは、池田組の資金力でしょう。分裂前からさまざまなシノギ(資金獲得手段)を抱え、かなりの資金を擁していたという話です。一部には百億円単位の資金を動かせるという噂もあったほどです。
分裂抗争の初期にも、神戸側に潤沢な資金を提供していたと言われています。ここ最近は絆會との関係を深めていますが、連携する絆會では、組幹部が六代目側の幹部らを次々と襲撃する事件を起こしている。
神戸のラーメン店で2023年4月に起きた六代目の傘下組織組長の射殺事件も、絆會側による犯行として組幹部が逮捕されています。資金面での後ろ盾となり得る池田組を叩くことで、絆會側を牽制する思惑もあるのではないでしょうか」
暴力団事情に詳しい捜査関係者は事件の背景をこう見立てた。
この関係者が指摘するラーメン店の襲撃事件では、くしくも、今回と同様に現場の防犯カメラ映像が出回り、関係者を騒然とさせた。「互いの陣営が襲撃の映像を流出させることで、相手側の戦意を喪失させたり、“戦果”を誇示する意味合いもある」(前出の捜査関係者)との指摘もある。来年で勃発から10年の節目を迎える日本最大暴力団の分裂抗争。その火種はいまも日本各地にくすぶっている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班