現場からは少なくとも6発の弾丸が発射された痕が見つかった

事件は9月9日午後、白昼の住宅街で発生した。民放記者は惨劇の一部始終をこう説明する。

「地元警察が事件を覚知したのは、9日の午後3時半ごろ。宮崎市田代町で『拳銃を持っている人がいて、発砲音がした』と110番通報があったのです。警察官が現場に駆けつけ、その場にいた60歳ぐらいの男を殺人未遂の疑いで逮捕。

男性は胸のあたりを撃たれ、病院搬送後に死亡しています。現場が暴力団事務所の敷地内だったことから、警察は抗争事件の可能性があるとして捜査を進めています」(民放記者)

宅配業者を装う吉川容疑者と思われる男性
宅配業者を装う吉川容疑者と思われる男性
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複数の関係者によると、事件現場となったのは、岡山県岡山市に本部を置く指定暴力団「池田組」の傘下組織の事務所だった。

池田組は2015年の山口組分裂時に、「六代目山口組」(以下、六代目)と袂(たもと)を分かち、五代目体制の中核組織だった「山健組(現在は六代目山口組傘下)」などの離反組織とともに「神戸山口組」(以下、神戸)の結成に参画。

しかし、2020年にはその神戸からも離脱している。今回、標的にされた組は、独立組織となっていた池田組の二次団体として活動していたという。

警察発表によると、殺人未遂の疑いで逮捕された吉井誠容疑者(63)は「六代目」の傘下組織の組員とされており、NHKの報道によると、現場からは少なくとも6発の弾丸が発射された痕が見つかったとも。宅配便の配達員を装う大胆な犯行に及んだ襲撃犯は何者なのか。

荷物を受け取る組員と思われる男性(左)
荷物を受け取る組員と思われる男性(左)

「カチコミの実行犯としてパクられた吉井はもともと六代目とは別の、関西に拠点を置く組織からやってきた人間のようだ」と明かすのは、さる暴力団関係者である。

「吉井は事件当時、六代目の中核組織である二次団体『弘道会』の傘下組織に籍を置いていた。時期ははっきりしないが、所属先が替わったのに伴って、居住先も関西から名古屋のほうに移っている。わざわざ名古屋から宮崎まで出向いて事件を起こしているわけだから、組織の意向が働いている可能性もあるね」(暴力団関係者)

荷物を受け取ると同時に銃声が聞こえ男性は倒れた
荷物を受け取ると同時に銃声が聞こえ男性は倒れた