「警察官とは日常的にトラブルになっていた」
事件が起きたのは、27日午前5時15分ごろ。きっかけはこの女に対する、男性警察官の職務質問だったという。
「JR新宿駅の地下にある西口交番に勤務する男性警察官が、以前からこの付近で路上生活している52歳の女に声をかけたところ、数分にわたって話をしたのち、女がハサミを取りだして突きだしてきた。
そこで危険を察知した男性警察官が距離を取ろうとすると、横転して後頭部を打って意識を失った。男性警察官が倒れたとみるや、この女は馬乗りのような体勢になり胸をハサミで複数回突き刺そうとしたが、防刃ベストを着用していたためかすり傷で済んだ」(社会部記者)
その後、通報を受けた西口交番の警察官が手に血の付いた女を発見。声をかけたところ「ハサミで(男性警察官を)刺した」と話したため、警視庁新宿署は同日午後に殺人未遂の疑いで女を逮捕した。
同署の調べに対して、女は「ハサミで刺したことは間違いない。殺してやるという気持ちもあったと思う」と容疑を認めているという。
早朝の新宿駅で凶行に走ったこの女は、界隈ではよく知られた存在だった。事件現場の近くで働く50代男性は「とにかく感情の起伏が激しくて、毎日のように騒いでいた」と語る。
「彼女はいつも階段の横スペースに車椅子を停めて、そこに座りながら編み物をしていました。外見は、白髪交じりのおばあさんという感じですね。基本的には静かなのですが、感情の起伏が激しいといいますか、一日に何度か『ワー!』って騒ぎだすんです。
べつに誰かに対して罵声を浴びせるとかではなく、独り言で『バカ野郎!』とか『ふざけんじゃねえ!』とか汚い言葉を叫んだり、なにを言ってるのかわからない奇声も発していました」
新宿駅を巡回する警備員の男性も、ふだんからこの女の存在には手を焼いていたという。
「誰に対してなのかわかりませんが、とにかく毎日のようにキレ散らかしていました。この辺り(=新宿西口の地下)は終電近くなると、雨風がしのげるので多くのホームレスが集まるんですけど、そうした同じような生活をしている人たちにも『バカ野郎!』と怒鳴っている姿を見たことがあります。
ベビーカーのように車椅子を押しながら一人で奇声をあげていることもあった」
また、現場付近で働く40代女性は、事件以前から女が警察とトラブルになっている光景をたびたび見かけていたという。
「あの車椅子の女性は、基本的には静かに過ごしているのですが、警察の方に声をかけられるたびに激昂していました。
『お母さん、ここにはいちゃいけないんだよ、知ってるでしょ?』みたいな感じで注意をすると、『うるせえ!』とか『ふざけんじゃねえよ!』と怒りだすんです。
テレビの報道では『殺してやるという気持ちがあった』と話しているみたいですが、警察の方とは日常的にトラブルになっていたので、それが原因なんじゃないかなと思います」