エンタメ業界はトライアンドエラーの過渡期
エンタメ業界のマーケティングを行うGEM Partners株式会社が発表した、「動画配信(VOD)市場5年間予測(2024-2028年)レポート」によると、2023年の定額制動画配信(SOVD)サービスの国内市場規模は、前年比12.1%増の推計5054億円とされている。
サービス別の国内市場シェアの推移を見てみると、シェア率1位は「Netflix」で21.7%(前年比-0.6pt)。続いて2位は「U-NEXT」で15.0%(前年比+2.4pt)。3位は「Amazonプライム・ビデオ」で12.9%(前年比+1.1pt)。今後も市場規模の拡大と、動画配信サービスの熾烈な市場の競争が予想されている。
映画から配信ドラマ化という流れは、動画配信サービスの厳しい競争のなかで考え出されたビジネスという一面もあるのだろうか。
「動画配信サービスのコンテンツを知ってもらう宣伝として映画の効果は大きいですし、コンテンツをヒットさせるためにも映画は有効な手段です。海外では日本よりももっと自由に多様なメディア化がされていて、有料コンテンツと無料コンテンツが同時に公開されることもあり、視聴者側に選択を任せる仕組みが出来上がっています。
現在、日本のエンタメ業界は、さまざまな動画配信サービスがひしめくなかで各社がコンテンツをどのようにヒットさせるか、試行錯誤している過渡期だと言えるでしょう」
昨夏公開された鳥山明原作のアニメ映画『SANDLAND』も、3月20日から「ディズニープラス」で映画版からさらに続く新たなシリーズとして、『SAND LAND: THE SERIES』が独占配信されている。
いずれにしても映画から続編はドラマへという流れは、原作人気があってこそ成立するビジネスモデルということなのかもしれない。
取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 写真/Shutterstock