モリサワが「BIZ UDフォント」を無償公開

フリーフォントといえば、先日大きな話題となったものがある。今年3月、フォント大手のモリサワが開発した「BIZ UDゴシック」「BIZ UD明朝」が、フリーフォントとして公開されたのだ。

この2つのフォントは「UDフォント」と呼ばれる種類に属するもの。UDとは「ユニバーサルデザイン」の略。厳密な定義があるわけではないが、多くの人にとって読みやすくなることを目的に、数字や濁音・半濁音の判別や、字形に配慮したフォントのことを指す。テレビのテロップや教育向けなどで広く使われはじめている。具体的に他のフォントとどう違うのか、モリサワのHPを見てほしい。


「BIZ UDゴシック」「BIZ UD明朝」は、そんなUDフォントの中でも、一般的なビジネス文書での利用を想定したもので、使いやすいことで定評がある。筆者も毎日使っているフォントだ。

「作品イメージ」から「見やすさ」まで影響を与える「フォント」開発の裏側_3
幅広く使えて見やすさを重視して作られたのが「BIZ UDフォント」シリーズだ。モリサワの公式ページより

今回は無料で使えるようにしただけでなく、2つのフォントを使った「派生フォント」を独自に作り、フリーフォントとして配布することも可能なライセンスになっている。そのため、「BIZ UDゴシック」の数字・アルファベットだけを入れ替え、プログラマーにとって使いやすいものへと改変した「UDEV Gothic」なども登場し、利用が広がっている。

実は「BIZ UDゴシック」「BIZ UD明朝」は、Windows 10以降をOSとして使っているPCには、すでに標準で組み込まれている。2018年10月のアップデートで、OSにこれらのフォントが追加されたためだ。またそれ以前より、モリサワは同社にユーザー登録した利用者向けに、「BIZ UDゴシック」「BIZ UD明朝」を無料で利用可能にしていた。

モリサワはフォント最大手の一角であり、UDフォントも複数開発している。ここまで来たら広く利用してもらおう……ということで、単に無料でフォントを提供するのではなく、もっと幅広い形で使えるものとして公開したのだろう。

Windows 10や11以外のOSを利用している人、スマホなどで使いたい人は「Google Fonts」からダウンロードし、使うのがいいだろう。

「作品イメージ」から「見やすさ」まで影響を与える「フォント」開発の裏側_4
Googleが運営するフリーフォントのサイト「Google Fonts」には多数のフリーフォントがあり、そこに「BIZ UDゴシック」「BIZ UD明朝」も加わった。