フォント製作は大変。著作権にも注意を

ではそんなフォントはどうやって作られているのか? 実は「一つ一つ手書き」だ。

日本語のフォントを作るのは大変だ。日本語フォントは、使われることの多い漢字・かなを単純に網羅していくと6000字を超える。記号や特殊文字などをカバーすると7000字近くになる。これでも、人名などでごく稀に使われるような文字は含んでいない。「日本で一般的に使われる文字」を広くカバーした状態に過ぎない。

手書きというと毛筆書体などを思い浮かべるが、他のフォントについても、その多くは1文字ずつ作られている。中にはデジタル化以前の書体に着想を得て作られたものもあるし、ディスプレイ上での見栄えを考えて作られたものもある。同じデザインのフォントでも、太さによって作り分けている場合も多いため、「フォントをデザインする」というのは、ある意味で一大事業なのである。

そんな事情もあって、省力化を図る場合も多い。すべてのフォントでアルファベット・漢字・かなを作るのは大変であるため、例えば「かな」だけをオリジナルで作り、漢字については他のフォントと組み合わせているものもある。

どちらにしろ、フォントのデザインと製作はとても手間とコストのかかるものだ。当然ながら、フォント自体が著作権で守られる対象となっている。

PCやスマホには、個人利用に関する権利処理が終わったフォントが最初から複数入っているので、日常的な利用ではあまり気にすることはない。だが、独自にフォントを追加するときは、購入などの権利処理が行われているものか、もしくは利用制限のない「フリーフォント」であることを確認しておいた方がいいだろう。

特にビジネス上、一般公開する文書を作るときに使うフォントは、「一般公開するものに使う権利があること」が必須となる。OSなどに組み込まれたフォントやフリーフォントは権利上問題なく、「商用利用可能」として売られているものも、問題はない。

「作品イメージ」から「見やすさ」まで影響を与える「フォント」開発の裏側_2
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