国語が得意な子と苦手な子の特徴
――山田さんは、これまで塾講師として小学生から大学生まで多くの子どもたちの指導をされていますが、国語ができる子の特徴はどのようなものでしょうか。
一言で言うと、会話の抽象度を合わせることがとても上手、ということですね。
現在経営している塾の入塾面談は全て私が行っていますが、そこでの会話だけで、その子の現時点での国語の成績がある程度わかります。
――成績を見ずとも、ですか?
はい。例えば子どもに『何料理が好き?』と聞き、その子が『かっぱ巻き』と答えたとします。
全く的外れではないですが、互いに話している事の縮尺(抽象度)がずれているように感じませんか? このとき聞き手は和食や洋食、せいぜい寿司とかパスタくらいの抽象度で聞いているのですが、その子は一気に寿司のネタまで幅を狭めています。
こういう話し方の子は、限られた時間でも重要でない部分の話を長々としたり、テストの時間配分がうまくできなかったりする傾向があります。
逆に、会話や時間の調整力が高い子は、入塾時点で国語の偏差値も高い場合が多いです。
「会話のフィードバック」が国語の成績を左右する
――会話の中での調整力の差で見ているのですね。この差はなぜ生まれるのでしょうか。
会話の調整力があまりない子ども(国語が苦手な子ども)は、身近な大人である親に、会話のフィードバックがされていないことが多いです。
本来、親に『今の返事ちょっとズレていない?』『それだけだとどういう意味か分かりにくいな』と自然に会話のフィードバックをされることで少しずつ調整力がつくのですが、その機会がないと、噛み合わない会話でも『これでいいんだ』となってしまうんです。
逆に、国語の勉強にそこまで時間を割かずとも点数が取れる子は、普段から自分の話をしっかり聞いてもらえているのかなと感じます。