今はアイドルがアイドルになる時代

モー娘。の初期メンバー5人の在籍期間の平均は4年6か月だが、2001年に加入した5期の髙橋愛、新垣里沙、2003年に加入した6期の田中れいな、道重さゆみという、ファンから「プラチナ期」と呼ばれる頃の中心メンバーはいずれもグループ在籍期間が10年を超えている。昨年グループを卒業した9代目リーダーの譜久村聖は12年10か月もの間、モー娘。として活動した。

モー娘。の後にアイドルグループの頂点に立った「AKB48」、そして「乃木坂46」でも、この卒業システムは導入され、アイドルとそのグループの長寿化は進んでいく。

特にAKBの公式ライバルとして登場した乃木坂46は比較的早くから成功したこともあり初期メンバーの平均在籍期間は約6年6か月。グループ全体としても平均在籍期間は6年5か月で、AKB48の4年6か月を大きく上回っている。一方、AKB48には「10年桜」という歌があるが、卒業するまでの在籍期間が10年を超えるメンバーが23人もいる。

AKB48の11枚目のシングル『10年桜』
AKB48の11枚目のシングル『10年桜』

最年長のAKBメンバーである柏木由紀は現在32歳。今年3月に卒業コンサートを行い、4月末でグループを卒業するが、アイドルとしての活動は実に17年間に及ぶ。17年前はスマホもSNSもまだなく、消費税は5%だったのだからまさにレジェンドだ。

AKBや乃木坂の在籍期間が長くなった理由として、アイドルグループの活動と平行して演技やモデルといったソロ活動ができたことがある。また、アイドルグループの乱立により元アイドルの数が増加。いくら元AKB、元乃木坂といえど、グループ脱退後の活動・活躍が難しいという面もある。

さらにアイドルグループを一旦は卒業するも、別のアイドルグループに入るケースも増えている。

例えば昨年の日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得した「FRUITS ZIPPER」は2022年結成だが、メンバーの月足天音は元HKT48、櫻井優衣、仲川瑠夏ももともとは別のアイドルグループに所属しており7人中3人が元アイドルだ。さらにライブハウスを中心とした活動をする「地下アイドル」では、数グループをわたり歩くアイドルもざらにいる。今はアイドルがアイドルになる時代ともいえる。

ではアイドルを卒業したのに、なぜ再びアイドルに戻るのか。そこにはいくつかの理由がある。