「事件のあった部屋は開きましたか?」という問い合わせが定期的にある

ホテルの部屋は全部で14部屋。そのうちの2部屋が使用できず、売り上げにもかなりの負担になっている。さらに追い打ちをかけるように人手不足も重なってきているという。

「もともと8人の従業員がいましたが、2人を残して全員辞めました。事件がすべての原因ではないかもしれませんが、同じ条件で働けるなら、わざわざ殺人事件のあったホテルで働きたくないという思いがあるようです。

遺体を発見した第一発見者の方はずっと働いてくれていたのですが、その後、別の理由で退職しました。やはり、ああいった事件があったので募集をかけてもスタッフが集まらないですね。

今はスタッフが3人とか4人しかいないので、一般的にホテルではありえないのですが、定休日を作って週に2日はお休みにしています。もう人が足りなくて回らないんですよ」

現場となった部屋(ホテルHPより)
現場となった部屋(ホテルHPより)

営業体制が万全ではないということに加え、事件後は客足そのものも減ってしまっているという。

「警察からも起訴するまでは部屋はずっと開けないでくれとお願いされていました。『現場を保持したい』ということでしたが、うちは部屋も少ないので死活問題になるから早く開けさせてくださいと言い続けていました。

結局、僕らが現場となった部屋に立ち入れたのは11月頃でした。浴室のタイルに血の跡が黒ずんでいるようなところが数か所ありましたが、それ以外は以前の部屋となんら変わりはありませんでした」

11月以降、事件のあった部屋の修繕に動き出したというが、当時の様子をこう振り返る。

「まず部屋に入れるようになってから神主さんに来ていただいてお祓いをしていただきました。賃貸マンションでも自殺された方などいた場合、オーナーさんが一度部屋を清めるというのはよくあって。その後に特殊清掃業者に入ってもらいました。立地も悪くない場所ですし、年月が経てばお客さんが戻ってくれるんじゃないかって願望はあります。

事件後は『事件のあった部屋はもう泊まれますか?』という問い合わせの電話が定期的にかかってきています。怖いもの見たさなのかもしれないですし、SNSなどにあげるつもりなのかもしれません。時代を考えると仕方のないことかもしれませんが、本音で言えばそっとしておいてほしいんですけどね」

北海道随一の繁華街、すすきので起きた事件の爪痕はいまだに深いままだ。

田村一家が暮らしていた自宅(撮影/集英社オンライン)
田村一家が暮らしていた自宅(撮影/集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班