令和のコンプラに照らし合わせるまでもなくアウト
基本的に『GTO』は教師を主人公とした、よくある学園ドラマのフォーマットを踏襲している。型破りな教師が自己流で生徒と向き合っていくというスタイルは、『3年B組金八先生』シリーズ(TBS系)に代表される学園ドラマの王道の系譜だ。
しかし、ほかの学園ドラマとは一線を画し、多くの視聴者を魅了したのは、やはり元ヤンの鬼塚ならではのショッキングすぎる立ち振る舞いにあるだろう。
たとえば第1話で教師採用前に面接に訪れていた鬼塚は、生徒をクズ呼ばわりする教頭(中尾彬)にブチ切れて、問答無用でローリングソバットを喰らわすのだ。
同じく第1話で、生徒の両親の不仲を憂いた鬼塚が、生徒の自宅の壁をハンマーでブッ壊すという破壊行動も。このシーンは『GTO』を代表する名シーンとして、いまなお語り草となっている。
第3話では、イジメを止めるため、なぜかイジメられっ子(小栗旬)をビルの屋上から柵の外に向かって逆さ吊りにしてしまう。「助けて!」と泣き叫ぶイジメられっ子を無視し、それを見ていたイジメっ子に向かって、「やるんだったらな、徹底的にやる! それが俺のポリシーだ」とキリッとキメ顔。
普通に考えればありえない。令和のコンプライアンスと照らし合わせるまでもなく、当時の平成の価値観でも間違いなくアウトだ。
ただそれは、現実社会でそういった暴力・破壊行動をしていた場合。決して鬼塚の言動を肯定するわけではないが、まだ昭和の名残がある平成前期のエンタメ作品としては絶妙な過激さで、視聴者に大ウケしたというわけである。