「あのときトシが怒ってくれなかったら、俺は……」

――現在は、先ほどの「帰れマンデー見っけ隊!!」をはじめ、「有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?」(テレビ東京系)、「今夜はナゾトレ」(フジテレビ系)、地元北海道では「ジンギス談!」(HBCテレビ系)など、数々のレギュラー番組を抱える中堅芸人として活躍されています。改めてここまで来るのに30年、振り返ってみていかがでしょうか?

タカ いやホントあっという間でしたよ。

トシ 気付いたら30年経っていたんだ、というのが本音です。

タカ 昔の感覚で芸歴30年っていうと師匠クラスになりますが、今は芸人の数も増えているし全然ベテラン感はないです。今もずっと若手の気持ちで仕事していますよ。

ずっと仕事に没頭していて、楽しかった。だから「もう30年!?」って感じるんでしょうね。

ぼくらのほぼ同期で、同郷でもある錦鯉の長谷川(雅紀)は50歳を超えてM-1で優勝するまでずっとバイト漬けでしたが、芸人の仕事を続けていて楽しそうだったので、やはり楽しいから続けられるんですよね。

トシ 今は北海道芸人だけのイベントもやっているし、長谷川も呼んで打ち上げできるのは本当に楽しい。

「30年間であのときだけでしたね、トシに怒られたのは」タカアンドトシの代名詞「欧米か!」は「なんでやねん!」に対抗して誕生!?…今だから言える本音_4

――そういえば、おふたりはピンでは仕事をされないことで有名です。

タカ まあピンだと力不足だからね(笑)。それに、純粋にふたりで仕事したいね、っていう気持ちが強いんですよ。ピン出演を許しちゃうと、コンビのパワーバランスが崩れるとも言われているし。

トシ もともとタカのほうからお笑いを誘ってくれたんで、お互いの笑いの感性は近いんだと思います。

タカ 言うなれば、学校の友達とだべってる時間をずっと毎日続けている感じ。そうしたふざけた時間って大人になればなるほどほしくなると思うし、それができている時点でお互いが一緒じゃないとダメなんですよ。

「30年間であのときだけでしたね、トシに怒られたのは」タカアンドトシの代名詞「欧米か!」は「なんでやねん!」に対抗して誕生!?…今だから言える本音_5
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――ふたりそろってこそのタカアンドトシなんですね! では最後に30年続けてきて、お互いに対して言いたいことがあれば、教えてください。

タカ 実は上京する直前は本当に仕事がなくて、不良芸人のようにヤケになっていたんです。毎日カラオケに行っては、歌って嫌なことを忘れる堕落した日々。ただ、あるとき歌いすぎて声がガラガラになっちゃって、漫才に支障が出ちゃいました。

そのときトシに「もうカラオケは止めなよ」って注意されたんです。30年振り返って怒られたのはそれっきり。あのときは感謝しています。

トシ あんまり覚えていないけど(笑)。

タカ でもこの間、福岡で公演があったときの打ち上げで、こいつ(トシ)がカラオケで長谷川と歌いすぎて、次の日にまったく声が出てなかったんですけどね(苦笑)。松山千春を歌うと止まらなくなるんだよ、こいつ!

トシ いやあれは、そーいうネタにして笑いにしたじゃん(笑)。そんなことを言うおまえこそもうタンクトップは着るなよ! うちの奥さんめちゃくちゃ嫌がってんだぞ!

タカ え? おじさんがあえて着るからわんぱくに見えてかわいいんじゃないの?

トシ いや、子どもか! いい年こいてから着ると嫌悪感がすごいんだよ!

前編はこちら〉〉前編『「吉本に入りたくなかった…」“お笑い不毛の地”だった北海道時代とデビュー時のトラウマ』

取材・文/中田 椋/A4studio 撮影/下城英悟