「派閥の中ですら人望なし」茂木氏は首相への道が断たれたか

今回の4派解散で、“割を食った”形となったのが、かねて首相への意欲を隠していなかった茂木幹事長だ。

「茂木氏は昔からのパワハラ気質が変わらず、派閥外だけでなく、派閥内からの人望も薄い。実際に一連の問題を機に、小渕優子選対委員長だけでなく、亡くなった青木幹雄・元官房長官の長男、一彦氏らも茂木派を退会する意向で、『脱・茂木派』の流れが進んでいます。

茂木氏としては、同じく派閥を存続させたい麻生副総裁とタッグを組む可能性もありますが、現状、茂木派と麻生派を足しても議員数は110人ほど。そのうえ麻生派からも、岩屋毅・元防衛相が退会を表明するなど、2派閥から議員が抜け出す動きは止まりません。茂木氏は派閥外にシンパがほとんどいないうえ、国民の派閥政治に対する目が厳しくなっているなか、9月の総裁選を派閥単位の支持の足し算で勝ち抜くことは難しいのでは」(茂木派関係者)

派閥内外から人望の薄い茂木幹事長(本人Facebookより)
派閥内外から人望の薄い茂木幹事長(本人Facebookより)

一方、無派閥のポスト岸田候補として存在感を示すのに躍起なのが、「次の首相」ランキング1位常連の石破元幹事長だ。

石破氏は1月22日、東京MXテレビで総裁選のルールについて「もう少し党員票の比重が上がってもいいのではないかという話はあってしかるべきだ」と発言。党内基盤が弱いが、党員からの人気は高い自身に有利なルールを提案したことに、自民党議員からは「石破氏が自分から言うべき話ではない。相変わらず空気を読めない。だから人望がない」との失笑が漏れる。

そんな石破氏が、総裁選で味方につけられる可能性があるのが菅義偉前首相ら「非主流派」だ。菅氏は23日にも記者団に「党として方向性は一体であったほうが、国民から理解される」と語り、全派閥の解散に前向きだ。

「非主流派」を味方につけられれば石破氏に首相の可能性も…?(本人Facebookより)
「非主流派」を味方につけられれば石破氏に首相の可能性も…?(本人Facebookより)

「自らは求心力を保てず、2021年に石破派を『グループ』に変えざるをえなかった石破氏ですが、ここに来てそのことが幸いし、『脱派閥』で菅氏らとまとまり、首相の座を狙える可能性も出てきた。ただ、政治刷新本部の中間とりまとめの通り、派閥が『カネ・人事』を切り離した政策集団になるなら、石破グループとほとんど同じ存在になります。そのうえ、無派閥が大半となった自民党内で『脱派閥』がアピールポイントになるかというと、微妙でしょう」(全国紙政治部記者)