たった3000円? シブすぎるヤクザのお年玉事情
六代目山口組では事始めを済ませた後、二次団体、三次団体は自分らの組で事始めを行う。事始めが終わると、次は餅つき大会だ。六代目が昨年開催した餅つき大会には、近隣ブロックから100人を超える参加者が集まった。用意されたもち米は約500キロとも。何台もの蒸し器でそれを蒸し、掛け声を掛けながらみんなで餅をつく。
毎年、司組長自ら杵を持って餅をつく姿が目撃されている。神戸の総本部で行われていたときは、お祭りのように屋台がずらりと並び、近隣住人も参加していたと聞く。白い餅だけでなく、赤い海老餅にヨモギ餅、あん餅、正月用の鏡餅も作られ、ついた餅はその場で雑煮やぜんざいとして振舞われる。
餅つき大会に手伝いに出たことがある二次団体の組員は、「司組長を間近に見られる機会は、自分たちのような組員には滅多にない。ふだんはYouTubeやニュースでその姿を見るくらいだから、餅つき大会は実際に組長をこの目で見て、この耳で声が聴ける貴重な機会だ」という。末端の組員では、その姿を見ることさえできないといわれている。
六代目山口組ではこの餅つき大会で、親分から子分へお年玉が配られてきた。六代目山口組本部では、直参の組長以下三役にまでポチ袋に入ったお年玉が配られると聞く。金額はおよそ5000円ほどだというが…。
「現在、傘下の二次団体は50団体ほどだが、分裂前は約120団体が傘下にいた。三役までとなると用意するお年玉は360人分。用意するほうも大変だ。けれど、お年玉は金額じゃない。親分からもらうことに意味がある」(前出、暴力団関係者)
年末には傘下組織のそれぞれの組でも餅つき大会が開かれ、お年玉が配られるという。コロナ禍以降、餅つき大会を開催していない組では、大晦日に配られるようだ。金額は組によって1000円から3000円ほど。こちらもポチ袋に入れて、組員全員に配られる。
「ここ数年は3000円だね。あれは形だから。これまでで一番多いときでも5000円かな。親分から手渡されるのはうれしいが、自分たちが払った金がちょこっと戻ってくるだけのこと。上納金を渡し、10万近い会費を払って戻ってくるのが3000円。今年はいくら入っているのか……」(関係者)
自民党の政治家は派閥のパーティー券の販売ノルマ超過分をキックバックされ問題になっているが、ヤクザには親分に言われれば用意しなければならないノルマはあれど、超過分はない。いくら上納しても還元されるお年玉は3000円。今時の小学生より少ないのだ。
取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班