官邸と内閣記者会の奇妙な反応
【③官邸と内閣記者会の奇妙な反応】
今回の不開示決定について筆者は官邸報道室に「会見前に記者から質問を一切受け取っていない認識なのか」とメールで問い合わせたが、3か月以上経過しても返答は一切ない。これまで首相会見の問題点(人数制限、常勤幹事社等)について問い合わせた際は最低限の回答は返ってきたものの、返信すらないということは初めてのことである。
内閣記者会(当月幹事社の北海道新聞・フジテレビ)に対しても、筆者は今回の不開示決定を説明した上で「会見前に官邸へ質問を提出していない認識なのか」と首相会見の参加者(各社の官邸キャップに相当する記者)にメールで問い合わせた。しかし、形式的な返信はあったものの、問い合わせ内容への回答は実質的に拒否された。
仮に質問の事前提出が事実でないのであれば、官邸も内閣記者会も回答すれば済むが、両者はひたすら説明なく回答を拒否する姿勢から、質問の事前提出はクロではないかと考えられる。本来は権力を監視すべき内閣記者会が、官邸の嘘に加担してまで国民の知る権利を侵害するという本末転倒な構図がここでも確認できる。
また、今臨時国会の閉会直前、自らは裏金で私腹を肥やしていた与党が、国立大学に対しては「稼げる大学」への変身を強要する国立大学法人法改正案を強行成立させ、その矛盾に大きな非難が集まった。こうした悪政を許す背景には、今回取り上げた首相会見のように内閣記者会常勤幹事社19社を筆頭とする大手メディアが、「国民」ではなく「官邸」に勤労奉仕していることが大きく関係しているように思えてならない。
文/犬飼淳