安心を売るはずの店が安心できない結果を招いてしまった…
こうした経緯にホリエモンこと堀江貴文さんが動画配信サイトで「マジで怒りを覚えるね。何のために保存料があるんだ、と。スイーツって砂糖をたくさんいれることで日持ちがしたりとかするんで、それを半分にするってアホか<中略>子どもがこのマフィン買って、食中毒になったらヘタしたら死ぬよ?<中略>マフィン事件はマジで殺人につながっちゃうからね。本当、おまえら反省しろよ、マジで。オーガニック信仰のやつら。保存料使え。砂糖ふつうにいれろ」などと反応。
SNSやニュースサイトでは「『納豆のような匂いがしたら食べずに』なんて、元食品販売業者としては信じられない対応です」「離乳食完了期の幼児も食べられるそうですが、この危険思考でよく死者が出ませんでしたね…」などの批判が殺到し、出店を認めたイベント運営者の責任を追及する声も相次いだ。
一連の騒動が沈静化する気配もない16日、取材班は自由が丘からほど近い住宅街にある、同店を訪ねた。店頭にはうさぎの看板がかけられ、黒板にはイラストとともに「小麦・米粉・国産のものをしようさせていただいております」と書かれている。
記者がインターフォンを押すと、憔悴しきった店主の山崎さんが、携帯電話を手に店から出てきた。
「昨日からずっと無言電話や恫喝めいたメールが絶えなくて…。でもお客さまの返金対応もしないといけないし、どうしたらいいか…」という店主から少しだけ時間をもらい、近所のファミレスで話を聞くことができた。
以下は「本当に、お客さまにご迷惑をおかけして申し訳ない思いでいっぱいです。本当にすいません」と何度も頭を下げる山崎さんとの一問一答だ。
――そもそもこちらのお店はどういう経緯で始められたのですか。
このあたりには小さなお子さんが安心して食べられる手作りのお店がなくて、縁あって6年ほど前にオープンしました。乳製品などのアレルギーを持った方でも安心して食べられるよう、リクエストにも応える形で進めてきました。
――安心を売るはずのお店が、まったく安心できない結果を招いてしまった。なぜこうなってしまったのでしょう。
昨日、保健所のかたが立ち入りにいらして話をお聞きしたのですが、焼いてから販売するまでの期間が長かったのが問題でした。マフィンは11月6日から毎日つくっていて、11日と12日に販売したのですが、時間があきすぎてしまいました
――1日に何個くらい焼き上げたのですか。
全部で3000個出したので、1日あたり500個になります。小さいお店で作り手は私だけですから、毎日朝7時から夜22時くらいまでかけて焼き上げました。デザインフェスにはこれまで5回出させてもらっているのですが、毎回このペースでつくっていました。
――1人でこれだけ作るのは、無理があったのではありませんか。
お客さまに「売り切れなの?」と悲しい顔をされるのが辛いので、量を増やしてしまいまいました。
――ふだんから利益はそれなりにあったのですか。
そうでもないんです。材料費が高いこともあり、本当に家族みんながギリギリ食べていけるかどうかの売り上げです。それこそ月によっては赤字のこともあります。純利益でいえば、多くて20万円ある月もあれば、2万円くらいの月もあります。