近年、食えないスカウトが「受け子」や「掛け子」に…

この男性がいう「スカウト狩り」とは、2020年6月に歌舞伎町で起きた、暴力団関係者が「ナチュラル」のスカウトにおこなった暴行事件のことだ。実話誌ライターはこう解説する。

「『スカウト狩り』は、ある『指定暴力団』の下部組織が100名がかりでナチュラルのスカウトたちに暴行を加えた事件で、このトラブルの原因となったのが、それまでナチュラルがおこなってきた他社のスカウトの引き抜き行為でした。優秀なスカウトが次々とナチュラルに移籍したことで同業者たちが不満を募らせ、お互いの”ケツモチ”でもある暴力団の下部組織による手打ちの会談が開かれることになりましたが、それをナチュラル側が拒否したことで、このような乱闘騒動にまで発展しました」

警視庁
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前述の、歌舞伎町でキャッチをしている男性(30代)もこう語る。

「ケツモチのヤクザに盾つく時点でフツーは考えられない。ナチュラルのメンバーは気性が荒いから、スカウト狩りを受けたときもかなり抵抗したそうです。 今回の暴行事件も、ナチュラルの関係者は『グループの決まりを破ったからボコっただけ』って言ってたよ。スカウトは集金のために毎日決まった時間に集まらないといけないんだけど、その集まりに遅れたとか、集金の額が足りなかったとか、その程度のことが原因らしい。こんな身内の揉めごとなんてナチュラルではしょっちゅう起きてるだろうし、まさかメディアにここまで報じられるとは思ってなかったんじゃないかな」

歌舞伎町のスカウト界隈が激震に揺れた今回の事件。昨今のスカウト事情に関して、前述の実話誌ライターはこう語る。

「スカウトと聞くと、『お金を稼いでいそう』とイメージする方も多いかもしれませんが、実際はほんのひと握りしか稼げないシビアな業界です。もちろんSNSには、セルフプロデュースの一環として札束や高級車がうつった写真をアップしていますが、いくらグループの規模が大きかろうと、給料が20万円を切っているスカウトもザラにいますし、稼げなくて実家を出られないスカウトも少なくありません。そこで近年では、食えないスカウトが『受け子』や『掛け子』といった闇バイトに手を出すことも珍しくありませんし、実際にナチュラルでも、違法なクスリをキャッチなどに流していたスカウトがいて問題になってました」

SNSで金を見せびらかしていた兼子エディ容疑者(本人SNSより)
SNSで金を見せびらかしていた兼子エディ容疑者(本人SNSより)
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