電動歯ブラシでしっかり磨けるのは富裕層のみ!?
最近、電動歯ブラシを使う人も多くなってきているが、手磨きとどちらがきちんと磨けるのだろうか?
「電動歯ブラシでも、もちろん汚れを落としてきれいに磨けます。ただし、条件があります。一つは富裕層であることです。
電動歯ブラシはある程度、価格が高額です。
また、最近だと電動歯ブラシにもいろいろあって、充電式の電池で動くものもあれば、乾電池で動くものなど多種ありますが、当然、電池がいいほうが歯ブラシの動きがいいわけです。
そうなるとやはり価格の高い上位モデルの方が電池もよくしっかり磨けます。なので、富裕層という条件を挙げたのです。高価な上位モデルを継続して購入使用できるということですね。
電池を入れ替えて動かす電動歯ブラシタイプはやはり動きがあまりよくないので、しっかり汚れを落とすには不十分なこともあるでしょう。
ただし、ランチの後など短時間で口腔衛生したいというときに使うのは問題ないと思うので、シーンに合わせて使い分けしていただきたいですね。
もう一つの条件は歯並びがきれいであることです。
お掃除ロボットを想像してみてください。何も障害物がなく平らな床だとスイスイ汚れが絡みとっていくのと同じで、電動歯ブラシも凸凹がなく、きれいな歯並びなら、動きやすく、汚れが落ちやすい。
この二つの条件が揃っているなら、電動歯ブラシでもしっかり磨けると思います。」
電動歯ブラシは歯に当たる部分が大きく、細かい作業が苦手のため、歯並びが悪いのであれば、手磨きしたほうがいいようだ。
虫歯や歯周病はしっかり歯磨きすれば、予防できるのに、日本では、歯磨きについての意識はまだまだ低いと酒向さんは嘆く。
「スウェーデンでは学校の授業の中に組み込まれて、子どものころから歯を大切にする意識が高いです。ドイツも同様で、大人が虫歯で歯科にかかった場合、ほとんど保険は適用されず、高額な自己負担治療となります。よく海外で歯の治療をしたら5000~7000ドルもかかって高額だったと聞いた人もいるでしょう。それくらい、海外では歯の治療費にお金がかかるので、みんな徹底して、オーラルケアをするのです。
日本では普通に虫歯を治療するなら1~3割負担のみなので、他の国より治療費がとても安いです。
これが、なかなか日本でオーラルケアが浸透しない理由の一つだと思っています。」
歯周病や虫歯などで口内衛生が悪化すれば歯を失うだけでなく、細菌によって糖尿病の症状を悪化させたり、心筋梗塞、認知症といった疾患の原因になったりするケースもあり、歯の健康と身体疾患が密接な関係にあることは一般的に認知されるようになってきている。
そのため、国は医療費削減と国民の健康寿命を伸ばすため「国民皆歯科健診制度」の導入を推進している。
近い将来、大人が虫歯にかかると高額な自己負担治療になることも十分考えられるとのことだ。
「歯磨きは、就寝前にしっかり行えば汚れは落ち、口腔衛生がよくなります。だから、今使っている歯磨き習慣に1つでもいいので、アイテムをプラスして、続けてケアしていただきたいです。」
取材・文/百田なつき