メリットはそれぞれ違う

自分が過ごしたいように過ごすことができる——。在宅療養の大きなメリットが、この自由に過ごせることにあると思います。

病院は治療が主体となる場所であるがゆえに、入院生活には何かと制約がつきものです。ですから「病気と付き合っていく」という場合や、「治療によって治る見込みがない」という終末期になった場合には、たとえ一人暮らしであっても、在宅療養を選択肢に入れても良いと感じます。

『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』より
『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』より

上の表は、日本人にとって望ましい死とは何かを明らかにする研究結果で、望ましい死を考えた時に80%以上の人が重要であると答えたものです。「望んだ場所で過ごすこと」「落ち着いた環境で過ごすこと」の項目から、望ましい死には過ごす場所や環境が大切であることがわかります。

どんな場所や環境を望むかは、その人の考えや価値観によっても変わってきます。大切なのは、自分が希望する場所で、希望する過ごし方ができるかどうかです。療養生活を送り、最期を過ごす場所は、自宅、病院、施設のいずれかになります。

希望する場所を考える上で参考になるのが、それぞれの「過ごす場所としてのメリット」。ここでは、それぞれの良さを比較しながらお話ししたいと思います。