大会は1年の成長を確認する場

石田 ところで、ボディビルは順位付けのある採点競技で、はたから見ると、順位の差異の見極めが難しい時があります。なかやまさんも2位で悔しい思いをする時が多々あったと思います。そういう時の採点に対する納得感は、どういう感じなのでしょうか。優勝した方の隣に並んだ時に「ここが足りなかった」と思うものですか。

なかやま 僕はどの大会でも優勝を目指して挑みますけれど、2位は2位なりに1位には勝てなかった部分があったのだと思うタイプです。順位だけを目標にしていると、1年間頑張ったのにというネガティブな気持ちが強くなりますから。確かに採点に納得しづらい部分は誰にでも多少はあると思います。なので順位だけに重きをおくのではなく、この1年で自分がどれだけ成長したかを大切にして、成長を続けているのだから、いつか優勝するという気持ちでやっていました。なので自分以外のカテゴリーの選手を見る時も、この選手は前の年に比べてどの部位が成長したか、どこまで仕上げてきたのかという部分を細かく見るようにしています。

石田 なるほど。そこはボディビル競技を観戦する際の重要なポイントになりそうですね。あとは個人的に、表立ってあまりフィーチャーされない大会準備に興味があるのですが、ボディビルの選手は肌がとてもキレイで、無駄毛が全くありませんよね。日常的にどういったケアをされているのでしょうか。

なかやま 最近は脱毛している人が多いと思います。かくいう僕も脱毛しています。毛のない状態に慣れたら、昔のムダ毛処理なしの写真を見ると「よくもまあ脱毛しなくて平気だったな」と思います(笑)。

石田 最近は競技の出場準備も進化していて、例えばエステマシンで脂肪を薄くする方もいらっしゃると聞きます。なかやまさんの中で、勝つために自分はこれはするけれど、これだけはしないという線引きはありますか。

なかやま 僕はサプリメントもあまり摂取しないですし、エステで水分を出すこともしないです。そういう意味では、考え方は古いほうかもしれないですね。

石田 従来型の準備や、個人の努力を大事にしているということですね。

なかやま そうですね、基礎をしっかりとやれば、何かに頼らなくても大丈夫という気持ちがあるかもしれないです。サプリメントにしても、ファクトがきちんとしているものは取り入れることはあると思いますけど、僕の場合は劇的に変わることはないですね。

石田 ボディビルの準備や取り組みに関しては、私も調べれば調べるほど王道なんて存在しないのだと感じました。人それぞれの選択や取り組みなのだと思って、そのあたりをなかやまさんに改めてうかがえて良かったです。

なかやま いえいえ、お役に立てて嬉しいです(笑)。

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「敬愛するなかやまさんに会えて感激しました」と石田さん