美容への関心も高かった山口容疑者
一方、ディオールの数量限定リップスティックケースを購入したり、ネイルも頻繁に変えていたりと、山口容疑者は推し活だけでなく、美容への意識も高かったようだ。
それにしても、55歳の女性がなぜ若い男性ではなく女性ライバーに大金を費やしていたのか。ミクチャの運営会社、株式会社DONUTSの元社員はこう話す。
「投げ銭機能をもっとも多く利用するのは30代から50代。女性が女性を推すことはけっして珍しくなく、投げ銭の男女比が半々という女性ライバーもいるくらい。
山口容疑者は2分間で8000P(8000円相当)もの投げ銭をしていたこともあり、めちゃくちゃ“太客”ですよ。このクラスの太客がいるのは売れっ子ライバーでも5人に1人くらい。まさに推しを支えていたひとりだと思います」
犯罪ジャーナリストの諸岡宏樹氏は、投げ銭トラブルについてこう解説する。
「伝統芸能の世界で観客、特に中高年女性が役者に『お花』と称した“おひねり”を渡す文化があるように、投げ銭のようなシステムは昔からありました。
ただし、現代の投げ銭はスマホやパソコン上で操作して渡すのでお金の重みを感じにくく、感覚が麻痺しやすい。
そのため、未成年が親のクレジットカードを勝手に持ち出して投げ銭に数百万円も使い込むようなこともあり、同様の事例は2021年ごろから増加傾向にありました。
大きな問題なのは、山口容疑者の場合はそれが顧客のお金だったこと。それでも一度タガが外れると後戻りもできず、捕まるまで止められない状態になっていたのでしょう」
他人から横領したお金で推された女性ライバーも、いい迷惑に違いない。
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取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班