〔〕内は集英社オンラインの補注です
子猫のときからのAIM投与で、
寿命が倍に延びる可能性が
ネコではAIMがIgMから分離しないため、腎臓病になっても尿細管の詰まりが解消されず、1個また1個とネフロンが壊れていく。そしてある程度の数のネフロンが機能しなくなったとき、クレアチニンなどの血中の腎機能マーカーが上昇し始め、「慢性腎臓病(CKD)」と診断されるようになる。
その後も尿細管の詰まりによるネフロンの死は続くが、このステージになると、同時に腎臓内で慢性的な炎症状態となり、その炎症自体がさらにネフロンの崩壊を助長し、腎機能は急坂を転がり落ちるように悪化する。
しかし、腎臓は2個あり、よく知られているように1個でも十分腎臓としての機能は保てる。
したがって、両方の腎臓全体の相当の部分がはたらかなくならないかぎり、血老廃物が濾過できなくなって尿毒症に陥ることはない。ネコの場合、平均して10年以上かけて、尿毒症のステージに達する。
このステージは、獣医学では「IRISステージ4」と呼ばれ、食欲の減退、体重減少、貧血、全身性の炎症(SAAなど血中炎症マーカーの上昇)など尿毒症にともなうさまざまな症状が現れ、ネコの全身状態は急激に悪化してしまう。
ステージ4に入ると、通常は数カ月しかもたない。逆に、ステージ3までは、腎臓マーカーは慢性的に上昇を続けるものの、そのカーブはゆるやかであり、ネコの全身症状もほとんど異常が認められない。
ネコは自分の体調を言葉にして伝えることができないから、オーナーさんは自分のネコの腎臓が悪くなっているとは気づかない。そしてステージ4に達し、ネコの体調が急激に悪くなって初めて、あわててネコを連れて獣医師のもとを訪れることが多いのである。