大好きな作品に携わる喜びとプレッシャー
――阪本さんが舞台「鬼滅の刃」シリーズに参加されるのは今回が初めてです。3度主演を務めた小林亮太さんからバトンを受け取り、竈門炭治郎役を演じられますが、出演が決まったときの率直な感想は?
光栄な気持ちでいっぱいでした。と同時に、プレッシャーは現時点ですごく感じています。すでに完成されているシリーズに初めて参加させていただくので、作品を愛してきたお客さんからの期待のハードルはすでに高くなっていると思うんです。納得していただけるように、全力でがんばりたいという気持ちでいっぱいですね。
――周囲からの反響は?
舞台界隈の知り合いや俳優仲間はもちろん、メイクさんや歌唱指導の先生からも「すごいね、大抜擢だね!」と言っていただきました。ただ、炭治郎はみなさんの中にすでにしっかりイメージがあるキャラクターなので、「大変だろうけどがんばってね」とも言われました。
――そもそも阪本さんは原作のファンだったそうですね。
出演が決まる前から『鬼滅の刃』は大好きな作品でした。炭治郎の優しさに癒されるし、心を救ってくれる作品だと感じていて。敵である鬼の過去も丁寧に描いてくれるので、共感できるポイントも多かったです。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020)は2回映画館に観に行ったんですけど、やっぱり何度も泣いちゃいましたね(笑)。今は稽古に向けて、原作とアニメを最初からおさらいしているところです。
――演じるうえで、大切にしたいと思っていることは?
まず炭治郎は15歳の設定なので、新鮮な気持ちで少年らしさを取り戻したいと思っています。あと、炭治郎の個性のひとつは「優しさ」だと思うので、そこも大切に演じていきたいです。
この作品には歌唱シーンもあるので、自分にしかできない炭治郎の歌を表現できたらいいなと思っています。
――『鬼滅の刃』の作品の根底には、炭治郎と禰󠄀豆子の兄妹愛があります。阪本さんは三兄弟の末っ子だそうですが、シンパシーを感じる部分はありますか?
原作を読んでいて「兄弟がいて本当によかった!」と思ったポイントは、まさにそこなんです。炭治郎は鬼に変えられてしまった禰󠄀豆子を人間に戻すことが大前提の目的なので、家族に対する思いをリアルに共感できました。自分の家族が同じような仕打ちにあったら……と想像すると、炭治郎が戦いに身を投じる原動力が理解できました。