怪文書の送り主の正体は…
2通目の怪文書が届いてから2週間あまり、夜も眠れず、食事も喉を通らない日々が続いた後藤さん。その間も継続してA子さんからは連絡が来ていたという。
「私が会うのを控えていたこともあって、A子からはしきりに『何かあった?』とLINEがきました。『会う気分じゃない』と答えると『女関係で何かやらかしたんでしょ?』と聞いてきました。A子は出会った当初から私に夢中で、よく『他に女は作らないでね』とか『私だけにして』と言ってきていました」
3通目はいつどこに届くのか。
不安な日々を送る中で、後藤さんには「この怪文書の送り主は、もしかしたらA子かもしれない」という疑念が湧いてきた。というのも、後藤さんはA子さんには本名や会社名も伝えていた。さらに、ホテルで交流する時は室内で5~6時間過ごし、ときには寝入ってしまうこともあったからだ。
もしかしたらA子さんが後藤さんの寝ているすきに財布の中の免許証を見て、自宅の住所を知ったのではないか。
「私がA子を疑い始めたのは、怪文書の消印のエリアがA子の会社近くだったからです」
そう感じた後藤さんは真相や知るために、A子さんにカマをかけることにしたという。
「あまりにA子から『会いたい』という連絡がくるため、“警察に被害届を出すほどのトラブルに巻き込まれたこと”、“精神的な苦痛から心療内科に通院したこと”をLINEで伝えました。するとA子から、こんなLINEが届いたのです」
――話さなきゃいけないことがあって。(略)
B美になりすまして、あなたとKクラブでマッチングし、手紙を送ったのは私です。
先週少しでも会ってと言ったのは、すべて話そうと思って。
愛情がどうしても消えなくて、嫌われるのも怒られせるのも怖くて、毎日震えがとまらず本当のことが言えませんでした。
このLINE、警察に見せてね。
うちはたぶんバレたら離婚です。
こんなことになるなんて思わなかった。
迷惑をかけたり傷つけるつもりもありませんでした。
ごめんなさい――
「A子、やはりお前だったのか!」という驚きと共に心の底から安堵した後藤さんは、このLINEを受けとったのを最後に、A子さんとの関係は絶った。