「フェアな競争はできない」新聞協会の大反対
NHKのネット事業はこれまで、あくまで放送の「補完業務」とされ、年間200億円という予算の上限も設けられてきた。しかし、NHKのネット業務の位置づけを議論する総務省の「公共放送ワーキンググループ」は8月10日、ネット業務を「必須業務」とするなどの方針に大筋で合意した。
これに「待った」をかけているのが、新聞社や通信社でつくられている日本新聞協会だ。
協会はこれまで「現状、ネット業務は放送の『補完』であるにもかかわらず、なし崩し的な業務拡大が行われてきた。必須業務化によって際限なく拡大する恐れがある」との声明を発表。
民間企業として有料会員獲得や広告収入による収益化を意識しながらネットでの報道を展開する新聞・通信社と、受信料収入で成り立つNHKでは「フェアな競争はできない」として、「NHKは無料のテキスト(文字ニュース)業務から完全に撤退すべき」と持論を展開している。
つまり、NHKが潤沢な受信料収入を使って取材し、ネット上で無料の文字ニュースをいくらでも流せるとなると、右肩下がりの収益構造のもとでコストカットを進めながら取材している新聞社は自社の有料会員獲得が難しくなり、事業が立ちゆかなくなる。
それゆえ、NHKは新聞社と同じようなネットでの文字ニュース提供はやめるべきだ、との主張だ。