クリエイターの仕事は生成AIに奪われるのか?
生成AIの特徴は「生成」することですから、その登場で淘汰される職種として、真っ先にクリエイティブ系を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
中国のゲーム業界では、画像生成AIの台頭によって、イラストレーターの仕事がすでに減少傾向にあるとの報道もあります。
「こんなタッチで、こんな背景を描いてほしい」「こんなキャラクターを描いてほしい」と画像生成AIに指示をすれば、高品質のイラストが幾通りも生み出される。こんなことがすでに可能になっているからです。
日本が世界に誇るカルチャーであるマンガの業界でも、これからは、長年にわたりマンガ家の片腕となってくれたアシスタントの業務の一部を、生成AIが代替してくれるかもしれません。
マンガ家が思い描く背景やキャラクターの動きを、アシスタントよりも正確に、生成AIが描くことができるようになるかもしれないからです。
ライターも同様です。書いてほしい記事や原稿を口頭で生成AIに指示すれば、それでできるようになるかもしれません。本のタイトルを考えるにしても、「この本のタイトル案を10個出して」と指示すれば、現在のChatGPTでも、すぐに出てきます。
「人間が100%書いた応募作」と「生成AIが書いた応募作」を見分けられない
すでに、こんな悩ましい事例も起きています。
アメリカのSF小説雑誌『Clarkesworld Magazine(クラークスワールド・マガジン)』は、創刊17年目の2023年2月に新人賞の募集を打ち切る事態に追い込まれました。
ChatGPTなどの生成AIが生成した投稿作が激増し、審査する側が「人間が100%書いた応募作」と「生成AIが書いた応募作」を見分けて選考する処理が追い付かなくなったからだとしています。
生成AIが書いた作品は「盗作」とすべきなのか? そもそも創作物において、どこからどこまでが100%のオリジナルと言えるのか? こうした議論に、今のところ、明確な答えはまだ見つかっていません。
楽曲制作やデザインの世界でも、同じ展開となっていくでしょう。
また、外注する余裕があまりない中小企業ほど、生成AIをクリエイティブに活用することが予想されます。
自社のロゴをデザインしたい。公式サイトを作りたい。しかし、本職のデザイナーに依頼するには予算が足りない。それならば、プロではなく、生成AIツールを活用しよう。そう考える中小企業が今後増えていくものと思われます。
クリエイティブ系の業種においては、生成AIの普及によって、破壊的イノベーションが引き起こされるかもしれません。