『ジョーズ』がベースのコメディ・ドラマ

フランスがサメ映画を作るとここまでオシャレで文芸的に!? 名作『ジョーズ』にオマージュを捧げたスタイリッシュすぎる『シャーク・ド・フランス』_3
© BAXTER FILMS - LES FILMS VELVET - FRANCE 3 CINÉMA - 2022

見事推測は的中し、人食いザメを捕らえたマジャはたちまち地元の英雄に。そのまま悠々と引退──するはずだったが、事態は思わぬ方向へ。時代が時代ということで殺処分は避け、遠く離れた海に放流した人食いザメが、あっという間にわざわざラ・ポワントまで戻ってきた上、開放中のビーチで犠牲者を再び出してしまったのだ。

それまでの英雄扱いから一転、「サメを殺さなかった」ということで槍玉に挙げられたマジャ。彼女は地元住民からは人殺し呼ばわりされ、ネットリンチや犠牲者遺族による報復など、壮絶な仕打ちを受けることに。
心身ともに深い傷を負ってしまったマジャだったが、しかし彼女は今再び、ラ・ポワントに現れた人食いザメに最後の戦いを挑まんとする──。

フランスがサメ映画を作るとここまでオシャレで文芸的に!? 名作『ジョーズ』にオマージュを捧げたスタイリッシュすぎる『シャーク・ド・フランス』_4
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監督・脚本はリュドヴィック・ブケルマとゾラン・ブケルマの兄弟。そして主演は『ヴィーガンズ・ハム』(2021)のマリナ・フォイス。同作では“日々ヴィーガンの惨殺にいそしむカニバリズム肉屋のぶっとびサイコ女房”というエキセントリックな役柄を務めた彼女だが、対するこの『シャーク・ド・フランス』では“正義感あふれるカタブツ女性上級曹長”という、ある意味真逆すぎるキャラクターを演じている。

フランスがサメ映画を作るとここまでオシャレで文芸的に!? 名作『ジョーズ』にオマージュを捧げたスタイリッシュすぎる『シャーク・ド・フランス』_5
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繰り返しになるが、本作は『ジョーズ』がベースのコメディ・ドラマ映画である。田舎町を舞台にした設定、お約束通り冒頭で人食いザメの被害に遭う犠牲者、憲兵隊の上級曹長というヒロインの役職(『ジョーズ』の主人公は警察署長)、視聴や地元の有力者を巻き込んでの大騒動と、類似点は多数見受けられる。