懐事情の厳しい高校生にも優しかったから思い出深い
『デプト・ストア』『上海タイムズ』『プープ・マクニン』

そして次は、同じ4階にある『デプト・ストア』である。
とはいえデプトは、原宿・明治通り沿いの地下にあった本店の方にも、高校生当時からよく行っていた。
原宿本店は広くていつもお客さんが多く、また買いやすい価格の古着を中心に小物なども多く扱っていたので、この手の最先端ショップの中では唯一と言っていいほど、高校生でも気軽に入れたのだ。
1987年当時、ヒップホップやスケーターのファッションアイテムを、いち早く取り揃えていたのもデプトだった。
最先端すぎて高校生にはついていけない部分もあったが、いま見たら懐かしくて涙が出るアイテムが揃っていそうだ。
ここではRUN DMC風の中折れハットや、西海岸風のド派手なスケートデッキでも買おうかな。
今も普通に買えるけど、アディダスのスーパースターを敢えてここで買い、その場で紐をひっこ抜いて履いてみるのもいいかもしれない。

そして次は『上海タイムズ』へ。
キッチュな中国雑貨で有名な、渋谷にあった『宇宙百貨』の姉妹店だ。
ここに並ぶのは、数百円というチープな価格設定の小物ばかりだったので、高校生当時から入り浸っていた。
多分、1987年の新宿アルタショップ群の中で、結局一番お金を落としていたのはここだったと思うので、大人買いができる今、敢えて行くこともないのかもしれない。
だけど、中国製品といえば激安なバッタモンばかりで、そこが逆に魅力的で面白かった1980年代と、中国が躍進を遂げた現在では感覚がまったく違うから、いろいろ新鮮かもしれない。
確か1000円前後だったカンフーシューズや、パッと見はいかついけど細部はチープな数千円のアンティーク調旅行用トランクなど買ってみたいかも。

待ち合わせする人も多い新宿アルタ前。Photo:Hikosaemon/flickr
待ち合わせする人も多い新宿アルタ前。Photo:Hikosaemon/flickr

そして最後は『プープ・マクニン』。
当時のアルタの中でも異彩を放っていたここは、沖縄に本店がある米軍放出品中心のサープラスショップで、品数の多さでは日本一を自負していたお店だ。
サープラスショップの商品も、高校生でも割と買いやすい値段だったので、当時の僕は、地元である東京・東久留米市に本店、渋谷に支店があった『東京ファントム』やこのプープ・マクニンであれこれ買っていた。
今日は、モッズ御用達の通称“モッズコート”M-51と、スキンヘッズ御用達のMA-1を一気買いするのだ。
80年代当時はチャラチャラしたヤツしか付けてなかったので避けてたけど、映画「トップガン」公開以降、異常に流行っていた米軍認識票を買ってもいいな。

ああ、楽しかった。
え?
もう、残り1分!?
時間が余ったらアルタを出てダッシュで帝都無線へ行き、インディーズバンドのレコードも買い漁りたかったんだけど、それはまた次の機会に。

文/佐藤誠二朗