1時間限定のタイムリープなら、「1987年の、新宿アルタに行きます!」
もしもお好きな時間と場所にタイムリープができるとしたら、あなたはどこへ行くだろうか?
ただし、許されるのはきっかり1時間だけ。
しかも行けるのは、40年以内の過去のみ。
自分自身はもちろん、家族や友人をはじめ自分にかかわる人物との接触はいっさいNG。
また、歴史に刻まれた有名な事件や事故の現場へ行くのも見るのも御法度。
公共交通機関を使うのもダメ、移動は徒歩のみに限られる。
そんな、本稿筆者がこれから書きたいことに合わせた、ご都合主義的設定があったとしたら。
僕なら変化の激しい大都会・東京の街で、時間いっぱい買い物をして過ごすだろう。
それにしても、ただの筆者のお手盛り設定とはいえ、1時間はあまりに短い!
複数のショップを訪ねようと街中をあちらこちらへ歩いていたら、ロスタイムが多すぎてあっという間に時間切れになってしまいそうだ。
だったらもう、あそこしかあるまい。
僕はこう宣言する。
「1987年の、新宿アルタに行きます!」と。
新宿アルタとは、1980年に開業した東京・新宿駅東口前のファッションビル。
地上8階建てと、大規模な建物がひしめく新宿の中ではさほど大きくもない平凡なビルだが、7〜8階に設置された多目的スタジオ(スタジオアルタ)で、1982年からあの国民的番組『笑っていいとも!』の公開生放送がおこなわれていたため、その名は全国に響き渡った。
『笑っていいとも!』は2014年に最終回を迎え、スタジオ自体も役割を終えて2016年に閉鎖したが、地下2階〜地上6階のショッピング&飲食ゾーンは変わらず営業を続けている。
現在はどちらかというと女性専門の衣料品店や雑貨店が軒を連ねるアルタのショッピングゾーンだが、1980年代当時、特に3階と4階の2フロアは、個性派スタイルが好きなサブカル少年少女にとってファッションの聖地となっていた。パンクやニューウェーブが大好きだった高校生の僕も、よく新宿アルタに通っていたものだ。
アルタに入っている店の多くは渋谷や原宿に本店があり、アルタ店はサテライトショップ的な役割だったが、高校生にとっては本店よりもずっと親しみやすかった。
小遣いが乏しく、主に“見る”専門で、たまに財布を出しても鼻くそみたいな小さくて安い小物しか買えなかった僕のようなガキンチョにとって、路面店である本店よりもビル内にあったアルタ店の方が気兼ねなく入ることができたのだ。
そういうわけで、1987年の新宿アルタへGO!
あの頃は買いたくても買えなかったモノを漁りに行くとしましょう。