「今の経営陣を刷新しない限り、テレビ局は生まれ変わらない」

――美しい幕引きですね。

今の放送局もそうですが、日本社会は、年寄りがポジションにしがみつき過ぎだと思っているんですよ。総合格闘技は、まだ未来のあるコンテンツなので、とにかくいい形で次の世代に引き継ぎたい。新国立の10万人イベントは、私が最後に残していく道しるべのようなものになればいいなと思っているんです。次の世代が「あのとき、新国立で10万人入ったイベントがあったよね」「自分たちはこれを超えていかなければならないんだ」と。

――これからの格闘技界を考えたとき、もうテレビ局は眼中にはないのでしょうか。


K-1やPRIDEの時代は、テレビのコンテンツにするというのがひとつのゴールだった。でも今は、地上波に向けてコンテンツをつくっても世界で戦えない時代になってしまいました。それよりもネットや通信の世界で、ペイパービューなどの有料コンテンツとしていかに熱を作り出していくかの方が大事ですよね。

「ホリエモンがフジテレビの経営者になっていたら、日本のテレビ局は変わっていた」RIZINをつくった男が語る「地上波の未来」と「自身の引き際」_3

――テレビ局は衰退の一途をたどるしかない、と。

いや、もちろん、テレビ局にもまだまだチャンスはあると思っているんですよ。テレビ局の今まで培ったノウハウというのは大変なものだし、中継車やカメラなどべらぼうな規模の機材を持っているわけです。それらを活かさない手はない。ただ、今の旧態依然とした経営陣を刷新しない限り、テレビ局は生まれ変わらないと思います。ホリエモンのフジテレビ買収騒動のとき、ホリエモンがフジテレビの経営者になっていたら、テレビ局は変わっていたでしょうね。

――それにしても、プロモーターという仕事は希望と失望の起伏が激しく、とにかくストレスがかかる仕事だという気がしますよね。


ストレスはかかるけど、めちゃくちゃおもろいですよ。ただ、ひとつのプロジェクトが終わるたびに、「もういいかな」とは思います。それぐらいエネルギーを消耗する職業ではありますね。でも、だからこそ、結果が出たときは、たまらないんですよ。

「ホリエモンがフジテレビの経営者になっていたら、日本のテレビ局は変わっていた」RIZINをつくった男が語る「地上波の未来」と「自身の引き際」_4

取材・文/中村計 撮影/村上庄吾

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