椎名林檎さんがいなかったら、今の私はなかったと思う(眉月じゅん)
——眉月先生は、平成のコンテンツのなかで、特に影響を受けたものはありますか?
眉月 影響を受けたというか「あの人がいなかったら今の自分はなかった」と言い切れるくらい、どハマリしていたのは椎名林檎さんですね。とにかく彼女は洗練されてたんですよ。サブカルなんだけど、めちゃくちゃ洗練されている。その感じが、当時高校生くらいの私には、すごく新しくて。そこに憧れたというか、ひと目見た瞬間から彼女の創りだす世界に夢中でした。
サンカクヘッド 眉月さんが椎名林檎ファンだというのは、なんとなくわかる気がします。
眉月 けれん味のあるコンテンツが好きなんですよね。椎名林檎さんはMVでもライブでも、その見せ方がすごく上手くて。歌詞や楽曲にも、世界観がしっかりと滲み出ている。アーティストのあり方としては一つの理想型で、今も影響を受けていると思います。
大熊 眉月さんは、あの時代のアニメもお好きでしたよね。
眉月 好きですね。『ベルセルク』に『(少女革命)ウテナ』に、そしてやっぱり『(新世紀)エヴァ(ンゲリオン)』は衝撃的でしたね。まったく大衆向けじゃないことを、すごく洗練されたセンスと演出でやってしまう。黒バックに白文字のタイトルがバンと出てくる演出とか。市川崑という引用元があるにしても、それを二次元にもってくるんだっていう。
サンカクヘッド あんな画面いっぱいに監督の名前出していいんだ、とか(笑)。
眉月 シンジくんのキャラクターだって、当時は驚きでしたよ。「エヴァなんかもう乗りたくない」って、パイロットがそれ言っちゃっていいの? っていう(笑)。とにかく『エヴァ』以前と以降で、アニメ・漫画の表現は明確に変化したと思います。