「日本人は“店で飲む文化”を失ってしまった」
3月22日にまん防が解除され、東京都では飲食店の利用人数の制限が4人以内から8人以内に緩和された。だが、繁華街の居酒屋は客数も売上げも未だ伸び悩んでいるのが現状だ。
「まん防解除後、来店客は増え、売上げも少しは戻りましたが、コロナ前と比べれば6~7割程度。テレワークが普及し、友人や会社の同僚と飲み会を開く頻度が激減している状況は変わらず、新入社員の歓迎会など、通常ならこの時期に増える大人数での宴会利用はほとんど回復していません。外国人客はほぼゼロです」(都内居酒屋店主)
「まん防」解除後、飲食店にとっての“命綱”であった協力金の支給も途絶えた。自力で店を立て直すべく、いま繁華街で過熱しているのが値下げ合戦だ。
JR神田駅北口の飲み屋通りにある、大手居酒屋チェーンの店舗では11時~17時まで生ビールが290円、近隣の炉端焼き屋では19時半までハイボールが100円引きに。その斜め向かいにある居酒屋は、今年1月から生ビール、サワー類、ハイボールを昼飲み限定で199円にしていたが、まん防解除後に「終日199円」にしたという。
このようにまん防解除後は、時間限定や期間限定ではなく、常時値下げする飲食店が増えているのだ。
「コロナ禍の2年間で、最初は店で飲むことをガマンしていた人も、いつしかそれに慣れ、習慣化してしまい、家で飲むことが普通になってしまった。コロナで我々が失ったのはお客さんではなく、店で飲むという文化そのもの。
それを取り戻すには、小手先のキャンペーンじゃダメ。『常時』『いつでも』『何杯でも』といった形で、思い切った値下げに踏み切るしかないんです」(前出・都内居酒屋店主)