『神々の山嶺』(原作:1994年〜1997年、コミック:2000年〜2003年)の話をするにあたり、お伝えしておきたいことがいくつかあります。
そもそも僕は谷口さんの『K(原作:遠崎史朗)』(1986年)という山岳漫画を読んでいたんですね。これは山の漫画なんですけど、その描写が凄くてですね。
相当前のことなのですが『神々の山嶺』が柴田錬三郎賞(1998年度受賞)をいただいた時のパーティーがあったんですよ。そこに谷口さんがいらして、お話はしたと思うんですけども、当初は『神々の山嶺』を漫画化するような具体的な話は出来なかったんです。
そこにいたのは、のちに映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年〜)シリーズを撮る山崎貴監督、その奥様で同じく映画監督の佐藤嗣麻子さん。
お二人とは以前からの知り合いなので、多分そのご縁でパーティにご招待したのだと思うんですが、佐藤監督が「『神々の山嶺』、漫画化すればいいのに」と僕に言うんですよ。「いや、俺は谷口ジローさんにやっていただきたいんだよ」って言ったら、僕の知らないところでパーティ会場にいた谷口さんのところまで言いに行っちゃったんですね。「あ、谷口さんいたわ!」っていなくなっちゃって。それで戻ってきたら「谷口さんもやりたいって言ってるよ」と言うんです。「ええ? そうなの!?」と。