一生つらいままの奴隷生活からの脱却が生んだ文化

こういう浅ましい心を持つ人が広告業界に多いのは、業界の文化のせいだと思っています。

広告業界では、普通に働いているだけだと一生つらいままの奴隷生活を送ることになります。

そこから抜け出すために、賞を獲って箔をつけることが必要です。しかし、広告の賞はデザインが優れているだけでは獲ることはできず、企画が重要視されます。そのためデザイナーは優秀な企画者(プランナー)との結び付きを強く求めます。プランナーに企画をすべて考えてもらい、ただ言われたデザインをするだけの作業マシーンに成り下がるデザイナーも現れます。僕はそんなので獲った賞なんて自分の実績とは言えないと思います。

しかし、周囲のデザイン事務所や制作会社の知り合いはどんな手段を使ってでも獲れればいいという考えの人がほとんどでした。そうなってくると、顔が広く、節操もなく周囲の人と飲んでコミュニケーションをとっている人が評価されてしまいます。自分の仕事に誇りを持たない、そんな姿勢の人が多いせいで不正を生み出していると思います。

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僕は自分が今までいた環境がとても恵まれていたんだなと痛感しました。田舎にいる友人たちはとても穏やかで、純粋な人が多いです。大学からの友人も志高く努力を積んでいて、決して誰かを蹴落とそうなんてことはしません。

純粋な人たちに囲まれて育ってきたので、広告業界のどろどろとした人間関係に嫌気が差します。

さらに、僕が広告賞を獲ったことや、YouTubeでの活動をどこからか嗅ぎつけて、すり寄ってくる人が現れてきました。その度に、これまで僕の周囲に現れては消えていった人たちの嫌な思い出が呼び戻され、距離をとりたくなってしまいます。

そうして僕はどんどん孤独になってしまいます。

でも中には悪どさを感じず、純粋にクリエイティブが好きなんだなと思える人たちもいます。最近はそういう人たちとの関わりや仕事も増えてきて毎日が充実しています。