これは普通に効くヤツで、
こっちは下(下半身)に効くヤツだよ
中山さんは指定されたJR東川口駅まで出向いた。そこで初めて対面した井上容疑者は、事前にLINEで送られてきていた自撮り写真よりだいぶ老けた、人相の悪い中年だったという。
「会ったらすぐに『忘れ物をした』と言うから、井上が経営しているという引越し業者の事務所に、黒のワゴン車に乗って一緒に行くことになりました。事務所といっても2DKのアパートで、怪しい雰囲気はありました。ちょっと会うだけの約束だったんですけど、車でぐるっと走っても朝方だし東川口だからカフェとかも開いてなかったんですよ。どうするんだろうと思ってるうちに、結局無言でラブホテルに直行されました。馴染みもない土地なんで、渋々部屋までついて行くと、ソファに座ってベタベタ甘えてきたんですよ。ヤリたくてしょうがなかったんだと思います」
すると、井上容疑者は机の上に平然と2種類の覚醒剤のパッケージを並べ出した。
「井上は『これは普通に効くヤツで、こっちは下(下半身)に効くヤツだよ』とうれしそうに説明しだして『違法だけどたまに使うぶんにはいいんだよ』とうそぶいてました。後で警察に事情を聞かれたときに見せてもらったからわかるんですけど、井上が取り出したのは1g入りのパケ(透明な袋入り)で、2種類とも白っぽい透明な結晶みたいな感じでした。
井上は慣れた手つきでパケの中身をカバンから取り出した注射器の中に入れ、ホテルに置いてあったミネラルウォーターを針から吸い上げて使ってました。私と会う前に、デリヘル嬢といたときにもクスリを打っていたそうで、多分その日2回目だったんだと思います。私は『少なめにして』とせめてもの抵抗をしたんですけど、『これくらいイケるでしょ』と1mlの注射器のメモリ0.3〜0.4くらいまでクスリを入れて打たれました」
金銭的なやりとりはなく、セックスの行為自体は乱暴でもなく、ごく普通だったという。
中山さんが続ける。
「結局ラブホテルにいたのは午前7時半ごろから午後2時ごろまででした。解散後は、こいつと関係を持ち続けたら、また覚醒剤を一緒にやらされると思って怖くなり、すぐに連絡先をブロックしました。ホテルや車内での会話で覚えてるのは、デリヘルはよく呼んでるとか、キメセクするためのセフレも数人いるという類の下半身自慢みたいなことですね」
中山さんは井上容疑者との出会いの経緯やLINEの内容を提出するなど、警視庁の捜査に協力し、引越し事務所のアパートや黒いワゴン車の写真を見せられ、自分の記憶にあるものとの一致にゾッとしたという。
Aさんの死体遺棄事件で警視庁が逮捕したのは計5人。主犯格は井上容疑者とみられるが、遺棄現場の土地を購入するなど、井上容疑者の元妻の土岐菜夏容疑者(34)の関与の度合いも深い。
「土岐容疑者は秋田県の短大を卒業して管理栄養士の資格を取り、平和運動に目覚めて被爆地の長崎県に住んでいたような人物なので、暴力団組員だった井上容疑者との接点がはっきりしません。土岐容疑者は黙秘を続けているといいます」(社会部記者)
元極道と元ボランティア少女が起こした最悪な事件の顛末を知るには、もう少し時間がかかりそうだ。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
Twitter
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班