イカつさを全面に押し出して
アイドル禁断芸(?)のハゲヅラを被って
「うわ〜……こりゃアイドルではないな……」。
そう思わせたのは森本が『ナンバMG5』(フジテレビ系列・2022年)で演じた大丸大助役。公式ホームページにも「イカつい風貌」と紹介されていた、商業高校の一年生だ。ドラマもヤンキーの生き様がテーマのコメディ作。
実際、不良の世界といえばシリアスな部分もあるのだから、『ナンバMG5』とはまさに虚実の皮膜にある。主演の間宮祥太朗を筆頭に、アイドルは森本以外誰もいない現場で、森本の演技はピッカピカに光っていた。その演技見たさに、録画を2回見ていたこともある。
そして同年、彼の演技は(一旦)沸点に達した。『ZIP!』(日本テレビ系列)内で、毎朝放送されていた『泳げ! ニシキゴイ』で、お笑いコンビ・錦鯉の長谷川雅紀を演じていた。
そう、現在放送中の『だが、情熱はある』と同じく、お笑い芸人の再現だ。『M−1』優勝、50歳で遅咲き大ブレイクとなった長谷川は、ボケ担当。実生活でも相当な天然であることは周知されている。この難題を森本はめちゃくちゃ格好よく、演じていた。
「こ〜んにちは〜!」
あの長谷川独特の声色と、トーン。僧侶を演じているわけでもないのに、つるっぱげのヅラを着用して、おそらく眉毛も太く濃く描いていたはず。そこにはジャニーズの「ジャ」もなく、ひとりの俳優が立っていた。ガタイのよさも、キャラクターもすべてを逆手に取って演じた長谷川雅紀役。適材適所とはまさにこのことだと、振り返って納得をする。