「渋滞」はクラシックカーにとって鬼門

あいにくと、この日の東京は朝から雨だったが、20台は観衆の拍手に送り出されて六本木をスタートした。

【画像多数】フェラーリ、マセラティ、ロールスロイス…堺正章が20台を厳選。“走る芸術品”クラシックカーの祭典「SUPER MUSEUM」密着レポート_7
ブガッティ・T35B(1927年)
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主催者でありホスト役の堺氏はイベントの仕切りもありスタート地点のみマセラティを走らせた
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ランチア・ラムダ・8aルンゴ(1928年)

雨の日曜日の午前中なのに、首都高から東名高速までずっと渋滞している。渋滞など存在していなかった頃に造られたクルマたちにとっては大敵だ。水温が上がってエンジンの冷却が追い付かなくなり、歩くような速度でのストップ・アンド・ゴーではクラッチが切れなくなり変速ができなくなる。ガソリンの気化やブレーキの酷使なども問題を引き起こすだろう。現代のクルマでは当たり前のエアコンもないから、窓ガラスも曇り出してきて視界が奪われる。渋滞は、クラシックカーにとってトラブルメーカーなのである。

中央環状線が3号線に合流するところでは、参加車の中で最も若いアルファロメオ・TZ1(1964年)とフェラーリ・250GTベルリネッタSWB(1961年)、同250GTベルリネッタ“TdF”が縦に3台連なって進みながら渋滞に耐えていた。まるで動物や魚などが群れることで外敵から身を守ろうとしているようだ。

そんな中で東名高速には進まず、用賀で首都高を降りていくクルマも見えた。助手席に乗っているナビゲーター役の人間がスマートフォンなどを使って、渋滞状況を調べたのだろう。

六本木を製造年代の古い順にスタートしたが、早くもバラけてしまった。ラリー競技ではないので慌てる必要もない。

ランチ会場のGDO茅ヶ崎ゴルフリンクスに涌井氏のロールスロイスが到着するのと入れ違うように、国道134号を西に向かってダッシュしていったのは、馬蹄形のラジエーターグリルと明るいブルーのボディでそれとわかるブガッティT40GS(1928年)だった。走行ルートの違いで、だいぶ差がついてしまったようだ。

次の目的地は、富士スピードウェイホテル。昨年新設されたモータースポーツに関連したレーシングカーやラリーカーなどが陳列されているミュージアム併設ホテルだ。それらは豊田市のトヨタ博物館本館や国内外の他メーカーからの貸与を受けて陳列されている。イベント参加者たちはウエルカムディナーを楽しみ、ここに宿泊する。