高齢者たちのエロチャット事情

課金額に差はあれど、いずれも安くはない金額を投じている。それだけに、チャットレディにハマる高齢者たちは会話やチャットだけで満足できているのか。

ちなみに、チャットレディは相手男性とのトークだけではなく、時にはセクシーな格好になったり、下着や裸を見せたりして、相手男性の自慰を促すサービスをすることもあるという。しかし、高齢の利用者はもはや”その気”も起きないのだろうか。

「Kさんは以前、男性機能が使えないといった話をしていたことがありましたが、50〜60代の方は元気ですよ。イチャイチャトークを楽しんだ後に私の裸を見て、自慰をしてスッキリしてからログアウトしていきます。ところが、70代になると多くの方は男性機能に変化があるのかもしれません。そういうことを求める方がガクッと減ります。

とある70代前半の常連男性は、メールで官能小説の台本を送ってきて、それを『お互いで読み合わせたい』なんてリクエストをよくしてくるのですが、私の裸を見ることもなく、自慰行為もしません。性的な妄想を一緒に演じるだけで満足するようなのです。他には、手首を縛って見せて欲しいという方もいました。ややフェティッシュな性的妄想を現実にやってもらえるだけで満足されるみたいです」(I美さん)

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I美さんは読み合わせる官能小説のストーリーに合わせて着る衣装も工夫する

アキラさんはライブチャットをする高齢者たちの性事情についてこう説明する。

「30〜40代の男性だと、お酒を飲みながらおしゃべりをしてからすぐにアダルト行為に入るパターンが多いですね。そのくらい若い男性だと1回のログインで2、3回自慰行為をする人もいます。ただし、60歳以上になるとお酒を飲みながらやるケースはあまり聞きません。自慰行為も1回が精いっぱいのようです。年齢によって楽しみ方に違いがあると所属の女性が話してくれます」

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60歳を超えてもなお、インターネットを使いこなし、ライブチャットで女性との会話やセクシーな時間を求めている人たちがたくさんいる。それは、ライブチャットを1つの居場所として求めている人もいるということだろう
そこには、リアルではなかなか出会えないが、ネットでお金を払えば、確実に優しく接してくれる女性がいる。
I美さんは述懐する。

「チャットレディの仕事を始める前に働いていた介護施設の夜勤で、各お部屋をまわってお布団を直していると、ペニスどころか足も立たないようなおじいちゃんが私の手首をぎゅっと握って、ベッドに引き込もうとしてきたことがありました。他にも、おじいちゃんと一緒に景色を眺めていたら、愛撫のように手を撫でられたりね。そんなことがしょっちゅうありましたよ」

異性を求める気持ちに、年齢は関係ない。ただし、年齢を重ねると、行動範囲が狭くなることもある。そんな時に、アダルトチャットは単なる性欲を満たすだけのものではなく、寂しさを癒すコミュニケーションツールとしても成り立っているのかもしれない。

取材・文/中山美里
集英社オンライン編集部ニュース班