「おぉ、青柳!」と声が出たほど美味しかったのは
懐石料理の順番に従い向付→飯→お椀→焼物でいただきます。
甘鯛のシコシコとした食感はまさにお店で出てくる感じ! 解凍しただけでこの出来栄えならいいんじゃないかな。ただし山葵はうまく解凍できなかったので、自宅にあるものを使用した方がよいと思われます。
ご飯の香りは飛んじゃってますが、やわやわであの炊きあがったばかりの「煮えばな」を思わせます。食事としてのご飯にしたい場合は、自分でお米を炊きましょう。
お椀は、「おぉ、青柳!」と言ってしまったほどおいしい。私がお店に伺ったのはもう何十年も前なので、これが今の青柳の味かどうかは確かではありませんが、私には出せない味だし、鱧もふわふわでめちゃくちゃおいしい。ですが、じゅんさいはイマイチです。
そして焼物はと言いますと、鱸はオーブントースターで焼いたにしては上出来です。ただ、はじかみ生姜はヘニャヘニャにやわらかくていただけませんでした。
「おうち懐石」は湿度を保った冷気で包み込むように急速冷凍する特殊技術を用いた最新の3Dフリーザーを使い、8割5分仕上げた状態で届きます。残りの1割5分、つまり調理や盛り付けを家庭で仕上げることで最高の“瞬”を味わえるというわけ。
作ってみて高級料理店には料理だけでなく器やサービス、空間があってこその価値なのだと実感しました。でも、一方でこれだけの味を出せるならおうちご飯も楽しくなる。ご飯も写真と同じようにお椀に一文字に盛れば、それなりの雰囲気が出せたと思う。
価格は全12回で415,200円、つまり2人分のディナーで1食34,600円ってこと。さすが高級料理店、お取り寄せも桁違いですが、「青柳」で2人で食事したら……、って考えると料理と器の相性や盛り付け方も身につくはず!なので、これは意外にお得なのかも。
文/高橋綾子