『にがい米』(1949)Riso amaro
上映時間:1時間45分/イタリア
監督:ジュゼッペ・デ・サンティス
出演:シルヴァーナ・マンガノ、ヴィットリオ・ガズマン
イタリアは一般に南部は貧しく北部は豊かだと言われるが、必ずしもそうとは限らない。この映画は北イタリアで出稼ぎに行く貧しい女性たちにスポットを当てる。ミラノ駅から特別列車で田園地帯に集まる何百人という女性たちは、ずらりと並んで太腿を見せ、歌いながら苗を植える。
その中心となるシルヴァーナ・マンガノ(当時はマンガーノと表記)と彼女を騙して米を盗もうとするヴィットリオ・ガズマン(同じくガスマンと表記)は、この一作で世界的なスターとなった。
『愛と殺意』(1950)Cronaca di un amore
上映時間:1時間38分/イタリア
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:ルチア・ボゼー、マッシモ・ジロッティ
戦争が終わってわずか5年なのに、この映画の描くミラノの社交界は何と華やかなのだろうか。その中心にいるのが実業家の若き妻パオラ(ルチア・ボゼー)だが、彼女には出身地のフェラーラに暗い過去があることが探偵の調査で明らかになる。
かつての恋人(マッシモ・ジロッティ)との再会から悲劇が始まる。彼らが再会するミラノ郊外やかつて過ごしたフェラーラの何もない空虚な空間は、アントニオーニの世界がこの第一作から確立されていたことを示す。
原題は「ある愛の記録」で、日本未公開だがこの題でDVD発売されている。
『テオレマ』(1968年)Teorema
上映時間:1時間45分/イタリア
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演:テレンス・スタンプ、シルヴァーナ・マンガノ、マッシモ・ジロッティ
ミラノの工場経営者(マッシモ・ジロッティ)の豪邸に、テレンス・スタンプ演じる謎の美青年が訪ねてくる。そこに住む経営者、妻(シルヴァーナ・マンガノ(当時は「マンガーノ」と表記))、息子、娘(アンヌ・ヴィアゼムスキー)、メイド(ラウラ・ベッティ)は全員が魅了されて次々と関係を結んでゆく。
工場や駅のシーンも印象的で、パゾリーニは特有の寓話的世界で資本主義とブルジョアの虚構を暴いた。
若きアラン・ドロンにイーストウッドの出世作、坂本龍一がアカデミー賞を受賞した傑作にナチスドイツ時代の悲劇まで。映画史に燦然と煌めくイタリア名画10選
『永遠の映画大国 イタリア名画120年史』より