官僚からはすこぶる評判のいいパペット総理

程度の差こそあれ、世界各国でエネルギー高、食糧高等による生活費の高騰、パンデミック中に抑えられてきた需要が一気に噴出したことによるインフレ、急激な需要増に人の確保が追いつかない人手不足等に喘ぎ、高インフレ傾向にある諸国では金利の引上げの結果として住宅の賃料も値上がりして多くの国民は四苦八苦している。

例えば英国では、賃金上昇がインフレに追いつかない公的労働者によるストライキが続いている。こうした状況に対して、各国政府は様々な政策手段を用いて対応してきた。無論、全てが上手くいっているわけではないが、少なくとも状況の変化を踏まえた対応をしようとしている。

翻って日本はどうか、岸田政権はどうか。柔軟性に欠け、状況の変化を言うのは口ばかりで、政策的対応を伴っていない。「検討使」と揶揄されたように、人の話は一応聞いて検討はするものの、決めることはしない。それが増税だけは「毅然として」決断する。なぜかと言えば岸田総理は財務省の言いなりだから。ある意味、財務省のパペットだから。

そもそも岸田総理はこれといってやりたいことがない。やりたいことは総理になること、そして総理の地位に居続けること。

そんな総理は時として外務省の言いなりにもなる。彼は外務大臣だった当時、外務官僚からはすこぶる評判が良かったそうだ。なぜかと言えば、外務官僚の言うとおりに動いてくれるから。この時は外務省のパペットだったのだ。

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外務官僚からすれば、安倍政権の時に決められて進められてきたことを主体的に変更するようなリスクのあることを積極的にやろうとは思わないだろう。無論、政権が、官邸が変更せよと指示してくるのならば別であるが、特段なければこれまでの経緯を説明して、継続してもらった方が楽である。

中身が空っぽで、パペットになってくれる岸田総理には状況の変化に応じてより良い政策を検討し、決定し、実行する能力、決断力に欠けているとしか言いようがない。

これまでやってきたからと言って、それがこれから先もずっと妥当な選択肢であるとは限らない。しかしそうしたことが岸田総理には分からないのだろう。それが今回のフィリピンに年間2000億円という話につながっていったということだろう。

これだけ危機的状況にあり、その状況も変化している中で、中身が空虚でパペットのような政治家という、最悪と言っていいような人材が総理に胡座をかいている。

取材・文/室伏謙一 写真/共同通信社