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あんちゃんは助監督と殴り合いのケンカして…熱かった!!

父・石田純一(68)の元でめきめきと俳優としての頭角を現していったいしだ壱成(48)。1992年に『悲しいほどお天気』(フジテレビ系)でドラマデビューした後、野島伸司脚本のドラマ『ひとつ屋根の下』(93年・フジテレビ系)や初主演作となる『未成年』(95年・TBS系)などの大ヒット作品に次々と出演。瞬く間に若手俳優のトップとなった。

いしだは当時の様子をこう振り返る。

「いいとか悪いとかではなく今のドラマ撮影現場と比べると当時は『熱度』が違った。『ひとつ屋根の下』で四兄弟の長男“あんちゃん”を演じた江口洋介さんなんて一番熱い方で、助監督と『なんだよ、おい、やってやるよ!』と殴り合いのけんかをはじめて。
“ちいにいちゃん”の福山雅治さんと『大丈夫かな……アレ』とか言って心配していました。とにかく、どの現場も熱かった」

「天狗だった当時は人を見下していた」「女性は性の道具だった」いしだ壱成が語る“90年代フェミ男ブーム”の栄光と転落_1
インタビューに応じるいしだ壱成
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当時は見返すことができなかった『未成年』は「自分の青春だった」

そして、自身の名を世間に轟かせた出世作である『未成年』については、意外なことを明かすのだ。

「今だからこそお話できるのですが、実は当時、自分の演技が恥ずかしくて見返すことができなかったんですよ……。
だけど、今回、(3度目の結婚相手である)元妻と離婚するにあたって、彼女が『いい作品だから』というので、DVDを借りて初めて『未成年』を見て、ガン泣きしましたね……。
“奇跡”のような作品でしたね。90年代の若者って、『俺なんて』って無気力でふてくされているということが社会問題になっていましたけど、そんな社会に対する野島伸司監督のアンチテーゼだったと思います。
とにかくあの頃の現場はみんなで怒鳴りあって掴み合うほど熱かった。自分や『デク』役の香取慎吾さんをはじめとした共演者の演技、脚本、照明、スタッフさんも含めて、すべてが“奇跡”だった。

「天狗だった当時は人を見下していた」「女性は性の道具だった」いしだ壱成が語る“90年代フェミ男ブーム”の栄光と転落_2
未成年・サウンドトラックより

思い返してみて、一番印象に残っているのは、ゴロ(反町隆史)と自分演じるヒロがえい!えい!とやりあっているところ。実はあれ、全部アドリブなんです。台本になくてもその場で演技ができるくらい、皆が仲良くなっていて。
現場が僕にとっては“青春”だったし、主演の5人含めてみんなの青春だったと思うんですよ。多分誰に聞いてもそう言うと思うんです。なによりTBSのスタッフもすごかった。

今は香取さんや反町さんはもちろん、“優等生”神谷勤役の河合我聞さんも名バイプレーヤーとして活躍していますし、インポ役の北原雅紀さんは俳優としてだけではなく後進の育成にも力を注いでいる……30年近くたって、思い立って見返してみて『ああ、よかったな』って」