毎年、渋谷駅周辺に国内外から大勢の人が集まり、路上飲酒をしながら集団で“バカ騒ぎ”をする渋谷のハロウィーン。今年5月から新型コロナウイルスが5類感染症に移行されたこともあり、近年以上に多くの若者が集まることが懸念されていたが、9月に「ハロウィーン目的で渋谷に来ないでほしい」と区長が直訴、今まで以上に警戒を強めていた。
ハロウィーン本番とされる10月31日に先立つ週末の28日午後16時30分、集英社オンライン取材班が渋谷を立ち寄ると、スクランブル交差点付近にはすでに大勢の警察官が集結し、いつになく殺気だっていた。
〈2023ハロウィーン〉渋谷の街から仮装・バカ騒ぎする若者が消えた!「(コスプレ)ダメだよダメ、ダメ~」警察官に注意された黒ひげ危機一髪男は段ボールを自ら破壊。ハチ公出口も喫煙所も閉鎖…渋谷区が本気だしてきた!
毎年ハロウィーンになるとコスプレ姿で路上飲酒や強引なナンパを繰り返し、ときには暴動まで起こしてきた渋谷に集まる“バカ者”たち…今年は長谷部健渋谷区長が「ハロウィーン目的で渋谷に来ないでほしい」と海外メディアに訴えたことが話題にもなり、厳戒態勢で挑んでいる。区長の声は若者や外国人に届いたのか? ハロウィーン直前の週末の渋谷をレポートする。
「ついに渋谷区が本気をだしてきた」(近隣店舗関係者)


「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」
ふだんであれば、観光客に囲まれて撮影列ができたり、待ち合わせ場所に使われる、渋谷駅のシンボルである忠犬ハチ公像。今年は10月28日早朝から11月1日早朝まで、ハチ公像の周りを混雑緩和のために仮の囲いを設置し、見学できないようにすると発表されていたが、さらに人が滞留しないよう警察やセキュリティによる交通整備も実施され、17時にはハチ公口そのものが閉鎖された。

DJポリスは大声で「ハチ公広場でのお待ち合わせはご遠慮ください」と呼びかけていた
10月7日、改造車が歩行者をはねて7人が怪我を負う事故が発生したスクランブル交差点近くの喫煙所付近も、喫煙ができないようしっかりと“封鎖”。人を滞留させないように警備員が目を光らせている。

閉鎖された喫煙所
アーミー姿の男たちには持ち物検査がおこなわれた
18時30分、DJポリスが交差点付近の誘導をするなか、警察官が1人の外国人を囲んでいた。
「ダメだよ!ダメダメ!」

警察官に声をかけられた黒ひげ危機一髪男
「黒ひげ危機一髪」の仮装をした外国人男性が、警察官3人に囲まれて注意されていた。もはや仮装自体がNGなのか? 外国人は「すみません」と言いながらペコペコと頭を下げ、注意された仮装の一部である樽を模した段ボールを自ら引きちぎり 、トボトボと駅の方向に歩いていった。

注意されて仮装を外す黒ひげ危機一髪男
警察官に怒られていたのは、この黒ひげ男だけでない。アーミー姿の男たちは覆面を外すように注意され、持ち物検査がおこなわれていた。

持ち物検査を受ける人々
「出来のいい仮装も見かけないんで拍子抜けです」
20時、駅周辺こそ誘導のため人混みがあるが、コスプレ姿の若者はほとんどいなかった。コスプレをせずに渋谷に来ていた若者たちに話を聞いた。
「土曜日なんで普通に渋谷に買い物にきただけです。だからもう夕方には帰ろうって話で駅に来てみたんですけど、ハチ公口閉鎖されてるなんて知らなかった。あれだけ渋谷に来るなって報道されてますから、それで仮装してきて万が一ネットにでも流れたら世間の笑われ者だし叩かれるかもしれないじゃないですか。それでも仮装してくるのはよっぽどのバカじゃないですかね。今のところ全然仮装してる人を見ないですけど、夜遅くなったら現れるかもしれないんで、もう今日は予定通り帰ります」(20歳・男子大学生)

恥ずかしそうに歩く仮装した男女
「仮装してる人いたらおもしろいね、なんて話してたんですけど、仮装してるのは外国人ばかりですね。それもかなり少ないし、すごく出来のいい仮装も見かけないんで拍子抜けではあります。しかも仮装してる人に警察が注意してるところも見かけたんで、渋谷区も本気なんだなって思いました。まあでもずっとこのまま街が落ち着いてるとは限らないんで、遅くならないうちに帰ろうと思ってます。夜遅くなってきてナンパとかされても面倒なんで(笑)」(23歳・アパレル会社勤務女性)

コスプレ姿はほとんど見られなかった
「仕事が休みなんで飲みにいこうよって話になって、それならナンパもできるかもしれないしってことで渋谷に来てみたんですけど、酔ってるどころか仮装してる女の子も全然見かけないし、ちょっとこれは望み薄ですかね…。男も含めて浮かれて騒いでる人なんて1人も見られなかったですよ。これから飲みに行くんで、夜遅くなってからまた様子見てみようと思ってます。
でもこれだけ渋谷区がハロウィンのバカ騒ぎに対抗してくるとは思わなかったんで、すごいですね。去年なんてこの時間にはもっとお酒飲んで歩いてる人いたし仮装も多かったから、自由度が全然違いますもん」(23歳・会社員男性)
大きなトラブルもなく、例年とはまったく景色が違った今年の渋谷ハロウィーン。商店街からは安堵の声が聞こえてきたが、道歩く若者たちはどこかがっかりしていたようにも見えた。
(後編に続く)

取材・文・写真/集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/soichiro Koriyama
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