〈奈良4歳児暴行死の謎〉「胃腸炎でもどすから」とペットシーツが敷かれた部屋でやせ細って亡くなった女児…友人男性が新証言「翔也(容疑者)はかばっているとしか思えない」「虐待の怪我はりんご病と説明された」
奈良県橿原市の田川星華ちゃん(4)が今年6月、虐待を受けた末に死亡し、母親のAさん(29)と交際していた建設作業員、山下翔也容疑者(27)=大阪府門真市=が傷害致死容疑などで逮捕された事件で、同容疑者から相談を受けていた友人が集英社オンラインに詳細を証言した。これにより同容疑者が8月に最初の傷害容疑で逮捕されてから一貫して否認、黙秘を続けている理由と背景が浮かび上がってきた。
5月に「なぜか僕のせいにされてるんです」と相談された
「翔也は父親代わりのつもりでいたと思います。『Aと付き合っている以上、子供とも真剣に向き合っていきたいんです』と常々言っていました。実際にお互いを『セイちゃん』『にいにい』と呼び合っていて、星華ちゃんは翔也にベッタリ甘えるようになついていました」
3人の関係を目の当たりにしてきた友人男性はこう口火を切り、次々に言葉を紡いでいった。
「Aさんが夜のお店で働いていたことについて僕が『嫌じゃないの?』と聞いたところ、翔也は『ホンマは僕の稼ぎだけで子供らも養ってあげたいけど、正直金きついんで。Aに辞めろとは言えない立場なんで』と我慢している様子でした」

山下翔也容疑者(本人SNSより)
♯1でも詳報したが、山下容疑者は今年の5月に星華ちゃんの顔を殴ってケガをさせたとして、8月16日にまず傷害容疑で逮捕された。これについて友人はこう証言する。
「5月の事件については、『なぜか僕のせいにされてるんです』と翔也に相談されて、間に入ったんです。Aさんとセイちゃんと翔也と僕の4人で話をして、写真も見せられたんですけど、セイちゃんの両頬に大きく青黒いアザができていました。殴った跡とは違って、皮膚の病気かと思いました。
でもAさんは『私が仕事に行くときにアンタに預けて帰ってきたら、こんなアザができとった。あんたがやったんと違うん? あんたがやったって私の周りも言ってるわ』ときかないんです。僕も別に翔也の肩を持つ気もないんで、『お前どうなん、正直に言うて』と詰めると『ホンマにやってません』と譲らなかった。
そもそも僕に相談すれば地元の仲間に伝わるので、やってもいないことをいちいち相談するわけないとは感じていましたが、この場は平行線でした。後で気になったんで翔也とAさんに『病院は行ったんか?』と確認したら、『りんご病と診断された』と返事があったので、それでいったん終わってた話なんですわ」

星華ちゃん(知人提供)
星華ちゃんは6月18日未明から朝方まで暴行を受け、翌19日に嘔吐を繰り返して意識を失い、搬送先の病院で死亡確認された。この友人はその直前の同16日にも、「にいにい」に甘える星華ちゃんの姿を見ていたという。
「このときは翔也から『Aと丸一日連絡がつかないんです』と連絡が来ました。前日に電話でケンカみたいになったそうですが、翔也はセイちゃんも心配だし、自然消滅みたいのは嫌だというので、2人でAさんの家に行きました。ドアをノックしても反応がなかったけど、翔也が中からセイちゃんが咳をする音が聞こえたって言ってました。
10分くらい様子を見て、最後にもう一度と思ってノックしたら、ようやくAさんが出てきたんです。『めっちゃ寝てたー』って。セイちゃんも立って起きとって、翔也を見つけると『にいにい』と飛んできました。翔也もAさんには『電話ぐらい出ろよ』と諌めながら、星華ちゃんを膝の上に乗せて『セイちゃん』とホッとした様子でした」
付き合う前から山下容疑者を「パパ」ってセイちゃんに呼ばせてた
しかし、このときすでに星華ちゃんはやせ細り、部屋中にペットシーツが敷かれて足の踏み場もなかったという。理由を質すとAさんは「星華が胃腸炎でもどすから」と答えた。この友人には子供がいるためか、山下容疑者は子育てなどについてよく相談してきたという。
「翔也は連れ子と付き合うのも初めてで、子供に関してこういうときはどうしたらいいかを聞きたかったんでしょう。セイちゃんが4歳なんでオムツをやめさせてパンツにしてあげたいけど、どうしていた?とか、家借りて3人で住むとしたら食費はどれくらい必要かといったことも聞かれました。翔也は穏やかで周りに気遣いできるやつで、ウチで何かするときでも僕の嫁に『お邪魔するから』とケーキを買ってきてくれたりします。仲間同士が揉めそうになったときでも、翔也がさっと間に入って仲裁してくれたことが何回もありました」
♯1でも報じたが、金髪頭で改造車に乗った山下容疑者は、近隣住民の“評判”は悪かった。だが、友人からの信頼は厚く、今回の取材では一晩で5人の仲間が記者の元にかけつけてきた。
友人たちからは、Aさんは山下容疑者のそうした気遣いや優しさにひかれているように見えたという。一方で真剣交際に発展する前から星華ちゃんに「パパ」と呼ばせるなど、不思議な距離感で周囲を戸惑わせることもあったようだ。

山下容疑者と星華ちゃん(知人提供)
「Aさんは付き合う前から翔也のことを『パパ』『パパ』ってセイちゃんに呼ばせてたんで『付き合う前からパパって呼ばすのは間違ってるんちゃうか?』と釘を刺しました。そのときはセイちゃんの名前も僕に教えてくれなくて、Aさんは『お嬢』としか呼ばないんですよ。理由を聞くと『(名前を知られると)子供が誘拐される』と言っていました」(別の友人)
この友人は、6月23日に営まれた星華ちゃんの葬儀にも参列していた。
「葬式の最中はAさんは泣き崩れて膝をついたり、泣き止んで普通になったりを繰り返していました。葬式が終わって、僕らはやめとこって言ったんだけど、Aさんがみんなで集まりたいからと、和食のファミレスに行きました。いつもみたいにわちゃわちゃせずに、セイちゃんを送る会だから、今日は静かにしとこかと思ってたんです」

Aさんと星華ちゃん(知人提供)
我が子を亡くし精神的に不安定だったこともあったのだろう。Aさんは店内で弾けたように大騒ぎしだしたという。
「しかも告別式に来ていたAさんの弟から、実はAさんが夫と離婚をしていないことを伝えられて、翔也も僕らもビックリしたんですわ。Aさんは自分の不利になることは一切言わないタイプなんだと思いました」
翔也から「Aに子供ができた」と聞いていた
そして8月16日、山下容疑者は傷害容疑で逮捕される。冒頭の友人も当日に取り調べがあることを本人からLINEで伝えられていたが、17日になってAさんから「報告があるから」と連絡があったという。
「Aさんから『集まってほしい』と言われて奈良に行ったんです。セイちゃんが亡くなってから任意の取り調べには4、5回行っていましたけど、詳しいことはAちゃんしかわからないので『俺らまったく状況わからんから何でも情報ほしいから頼むな』と言いました。
そのときに、セイちゃんが顔をケガしたことで翔也が逮捕されたと言うので『りんご病って診断されたんやろ?』と聞き返すと『そうです』って言うんです。警察に診断書を出すべきだと伝えると『受診したときは診断書取らなかったけど、先生には保育園で必要になればいつでも出せますと言われました』と言ってくれたので安心したんです。『じゃあ、それを取りに行って、警察に出したらええやん』と伝えてみんなで帰ったんだけど、Aさんとはそれ以降、連絡が取れなくなりました」

A子さんの自宅(撮影/集英社オンライン)
この友人は、山下容疑者が星華ちゃんに手をあげるとはどうしても思えないという。
「任意での取り調べを受けてる段階では、翔也がAちゃんを守ろうとしていると感じていました。なぜかと言えば、翔也から『Aとの間に子供ができた』と聞いていたので。しかも、まだセイちゃんが元気だったころです。実際、本当に妊娠していたのかどうかはわかりませんが、翔也も結婚を前向きに考えて『大阪で賃貸を探そうと思ってる』って言ってたんですよ」
友人たちの知る「心優しい青年」が、動機や背景を黙して語らぬのはなぜか。奈良県警の踏み込んだ調べが待たれる。

山下容疑者と星華ちゃん(知人提供)
※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
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@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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