「あそこかよ、絶対にヤバいじゃん…」

今年6月から7月にかけて計3回、埼玉県警交通指導課と飯能署は国道299号線で「ローリング族」などの走り屋対策を実施。コンビニの駐車場などにたむろする、い集車両に対する取り締まりや安全対策を行ない、整備不良4件、免許不携帯2件の計6人を摘発し、い集車両は計108台、同乗者36人を含む144人を把握した。

国道299号標識(撮影/集英社オンライン)
国道299号標識(撮影/集英社オンライン)
すべての画像を見る

「国道299号の山岳区域は信号機が少なく、夜間になると交通量も少なくなる。そこで、コーナーの多い道をサーキットに見立てて深夜に高速で走りぬける『ローリング族』と呼ばれる集団の暴走行為が長年にわたり問題となっていた。彼らは、週末の午前0時すぎになると、今回取り締まりが行なわれた飯能市内のコンビニに続々と集結する。マフラーを改造した車両などで、猛々しいエンジン音を鳴らすため、近隣住民からの苦情も絶えなかった」(社会部記者)

県警交通総務課などによると、2016年から20年までの5年間、国道299号では10件の交通死亡事故が発生し、人身事故は341件、負傷者は492人におよんだ。2018年には、制限速度を89キロ超える約129キロで走行し、カーブを曲がりきれずに対向車と正面衝突。対向車を運転していた男性(23)を死亡させ、助手席の男性(23)と自車の助手席に乗っていた男性(20)に骨折などの大けがを負わせるという悲惨な事故も起きた。

地元の消防関係者もこう眉をひそめる。

「国道299号では、制限速度を超えて危険走行するドライバーも多いことから、悲惨な事故につながりやすい。事故現場では、四肢がふっ飛んでいたり、性別が分からないほど損傷した遺体を目にすることもあるため、国道299号沿いで通報があると、『あそこかよ、絶対にヤバいじゃん…』と落胆する職員も少なくなかった。それだけ国道299号は、『できれば行きたくない現場』として知られていた」

今回の取り締まりについて、交通指導課は「今後も地元警察署と連携して、299号線対策を継続的にやっていきたい」と強調したが、現在はどうなっているのか。

現場となったコンビニ付近に住む女性(50代)は、こうため息をもらす。

「最近はすこしだけ静かになりましたが、それでも夜中の『ブーンブーン』といったマフラー音には迷惑しています。今でもあそこのコンビニでは、深夜の0時ごろになるとライダーや旧車マニアの人たちが集まって『集会』が行なわれているんですけど、そのときに、マフラーを空ぶかしする人や、駐車場から爆音で発進する人もいて、ビックリして起きてしまう日もあります。おまけに『ギャハハ』といった笑い声も聞こえますし、人の迷惑も考えられない人たちがたむろしていると思うと、怖くて一人でコンビニにも行けません。警察の方には、もっと本格的に取り締まってほしいです」

コンビニには騒音対策の張り紙が…(撮影/集英社オンライン)
コンビニには騒音対策の張り紙が…(撮影/集英社オンライン)

同じくコンビニの近くに住む男性(60代)も、「とにかく夜中がうるさくて眠れない」と怒りをあらわにする。

「あそこのコンビニは『299号のスタート地点』的なスポットになっているから、シャコタンやスポーツカー、バイクといった車両で駐車場が満車になる日もあるんだけど、とにかく夜中がうるさくて…。笑い声だったり、マフラーの音が耳ざわりで眠れないんです。それこそヒドいときは、マフラーで『ブンブンブーン』とリズムを刻んで『コール』する人たちもいるし、この地域は山に囲まれているから、音がこだまして余計に響く。もう何十年も夜中の騒音には悩まされているので、一刻も早く解決してほしい」