#1 元暴力団員ら5人逮捕。「スコップを持って男女4、5人が林に入っていった」…逮捕された元暴力団員の妻は当初、記者の直撃に…
#2 マザー・テレサに憧れたボランティア少女はなぜ覚せい剤事件の元組員(48)と夫婦になったのか…遺棄事件に関与の容疑で逮捕「いつのまにか悪い男に引っかかった」
#3 【秋田コンクリートづめ女性遺体】元暴力団員・井上容疑者とテレクラで出会いホテルで覚せい剤を打たれた女性の告白「なれた手つきでパケの中身を注射器に入れ…」
#4「トイレで残飯を食べさせられ、男子の前で服を剝ぎ取られ…」マザー・テレサに憧れた元暴力団員の元妻(34)に鬼畜“イジメ”の過去⁉ 被害者は今もトラウマに苦しみ…【秋田コンクリートづめ女性遺体】
〈秋田・女性死体遺棄〉主犯の“ヤク中”の元ヤクザ(48)は故郷・山梨ではシノギのないペテン師で有名。パチンコ・野球賭博で借金漬け「出会い系で“オンナ”を見つけ“女衒”のようなことをしていた」実家を直撃すると…
2年前に失踪した愛知県出身の女性(当時48歳)が秋田市内でコンクリート詰めの変死体で見つかった事件で、警視庁が主犯格として死体遺棄容疑で逮捕した元暴力団組員、井上大輔容疑者(48)=別の覚醒剤事件で服役中=が、借金を踏み倒して故郷の山梨から逃げるように飛び出していたことがわかった。
仲間内ではペテンで有名でシノギをひとつも持ってない
「俺は天涯孤独」と周囲に吹いていた井上容疑者の経歴はデタラメで、実際は両親やきょうだいも健在、小さいころは近所でも可愛がられた存在だった。
山梨在住の井上容疑者の知人が証言した。
「井上大輔の実家は山梨県南アルプス市です。何かの報道で『自分は天涯孤独』とか元妻に吹いていたとありましたが、ちゃんとした親御さんもいてお父さんは学校関係のお仕事です。それに元暴力団組員といっても、幹部でもなんでもありません。稲川会系組織の下っ端で、シノギをひとつも持ってないどころか、借金をたくさん抱えたまま山梨県から“飛んで”いなくなっただけです」

井上大輔容疑者(知人提供)
若いころはケンカで鳴らしたとか、地元で有名な不良だったりしたのだろうか。
「口がうまいだけで、強行犯的な荒事は無理ですね。仲間内じゃペテンで有名で『デカい取引があるからまとまった金が必要だ』とか言って50万円ぐらい引っ張っては返さないみたいなことばかりやってました。
ヤツは野球賭博狂いで、結局それで大負けして飛んだんです。1試合に50万円も100万円も張り込むような勝負で負けがこんで、借金の総額は1000万円を超えていたと思います。兄貴分に頼み込んで『一からやり直せよ』ってことになってたんですけど、1週間後に飛んじゃいましたね。先輩、後輩、組関係、いろんな知り合いから借りてたんで、どうにも首が回らなくなったんでしょう。3年前くらいのことですよ」
井上容疑者は今回の共犯で元妻の土岐菜夏容疑者(34)との前にも、結婚していたことがあったという。知人が続ける。
「最近、覚醒剤で実刑になって網走刑務所に入ってたらしいけど、以前にも実刑食らってるんですよ。前の嫁さんと不貞行為をしていたという男を脅迫した挙句ですね。それは美人局じゃなくて、本当に不倫していたのを見つけたみたいで、最初は向こうも家庭があるから素直に何百万円か払ったけど、調子に乗って何回もせびって警察に駆け込まれて事件にされたんです。ヤツは『〇〇刑務所のメシはまずい』みたいな懲役自慢もよくしてました」

元妻の土岐容疑者(店舗HPより)
2015年7月11日付けの読売新聞山梨県版に、こんな記事が載っていた。
<県警組織犯罪対策課と笛吹署は10日、甲府市小瀬町、指定暴力団稲川会系暴力団組員の井上大輔被告(40)(覚醒剤取締法違反で起訴)を恐喝容疑で再逮捕した。井上被告は「何も言うことはない」と認否を明らかにしていないという。
発表によると井上被告は昨年11月と今年4月、井上被告の内縁の妻と交際した50歳代の自営業男性を脅迫し、現金計195万円を脅し取った疑い。甲府地検は10日、同じ男性に対する別の脅迫罪で井上被告を甲府地裁に追起訴した。>
「井上に金を貸したけど返ってこない」
「印象としては口は上手いですよ。今回、ヤツを知ってるツレたちとも話してたですけど、殺しまではできる度胸はないですね。あいつがTwitterに書き込んでいた『慶弔委員長』とか稼業の肩書は全部嘘で、辞めた時に色々シノギを没収されたってのも嘘です。シノギなんて一個も持ってなかったんで。山梨にいたころは貧乏ヤクザで、人を騙してお金を借り倒す『ペテン師』で有名でしたよ」
2021年3月、埼玉にてテレクラで出会った女性(♯3参照)に対し、組の幹部を名乗っていたのも“フカシ”だったようだ。

井上容疑者のLINE。「慶弔」を「慶長」と誤記している(♯3にて告発した中山さん(仮名)提供)
覚醒剤は当時から常用していたのだろうか。
「山梨にいたころは常用まではしてなかったと思うんですよ。今回の事件で逮捕された写真を見ましたけど、当時と比べて半分ぐらいにしぼんでるんで、みんなで『シャブにハマるとあんなにやせるんだな』と噂になったぐらいです。そもそも覚醒剤を買えるほどカネも持ってなかったはずですよ。
車はプリウスに乗ってたんですけど、後輩にカネ借りて返せないもんだから追い込まれてそのプリウスも取られてましたからね。今回報道で出ているレクサスやベンツを買う金なんてまったくなかった」
では、何で生活をしていたのだろう。
「パチンコやパチスロばっかりやってましたね。あと、組事務所の本部当番をすると日当が1万5千円くらい出るらしくて、それで食ってたようなもんです。
ただ、今より20〜30キロぐらい多く体重もあって、ふっくらしていたので、もうちょっとヤクザらしくは見えましたね。髪もあそこまでハゲじゃなかったし。入れ墨は昔からそれなりのを入れていたんで、知らない人にはハッタリは効くでしょうね。
あと、中途半端な女衒みたいなこともやってました。風俗店や飲み屋などの夜職に女の子を供給してたんだけど、あいつの紹介って出会い系なんです。出会い系の掲示板とかマッチングアプリとか、そこで引っ掛けた女を紹介するんだけど、ちゃんと説明もなしに『面接受けるだけで金が貰えるから』みたいに適当なことをいって送り込んでいたのでトラブルになっていたようです」

井上大輔容疑者(知人提供)
井上容疑者はそうして風俗店などに送り込んだ女性たちからも、消費者金融で金を借りさせて引っ張っていたという。
「その女の子たちから『井上に金を貸したけど返ってこない』とか『紹介料がもらえていない』みたいな訴えが結構あったみたいでトラブルばかりおこして破門もされているので、もう地元には戻って来られないでしょう。
山梨を出てからも出会い系をちょいちょいやってるとは聞いてました。パパ活やってるようなオンナに近づいては『自分だけでやると危ないよ』って“守り代”を取ってたらしいです。本当はもうヤクザでもなんでもないのですが、刺青は立派なのが入っていたので、ヤクザと信じちゃう人もいたのでしょうね」
近隣からは「大ちゃん」と呼ばれていた
南アルプス市内にある実家近くに住む女性は、井上容疑者のことをよく覚えていた。
「大ちゃん(井上容疑者)、またそんな悪さしたんか。嫌だな、ほんとに。もう親御さんたちがかわいそうだわ。もう退職されていると思いますが、大ちゃんのお父さんは山梨県内の高校で職員を勤めながら、その高校の女子ソフトボール部の監督をやっていて、家を下宿みたいにして部員の面倒まで見ていました。お母さんは体を悪くされるまでは介護関係で働いてた。弟と妹もいて、この二人はちゃんとした社会人になった。大ちゃんがグレ始めたのは中2ぐらいの頃かな。学校のガラス割ったとか、いろいろ噂はありましたが、私らには人なつこい子でしたね。
高校受験の頃に、『おばちゃん俺、高校受かったぜ』って嬉しそうにしてたのに、それまでの素行不良で結局入学できなかったと聞いています。私の娘にお年玉をくれたことがあって『大ちゃんも立派になったねえ』なんて話してたこともあったんだけどね……」

48歳女性が変死体で発見された遺棄現場(共同通信社)
実家近くに住む男性にとっても、「大ちゃん」はかわいい存在だった。
「小学校のころから『おじちゃん俺が酒飲めるようになったら一緒に飲もうぜ』とかなついてくる、本当にかわいい子供だった。家の前でよくサッカーをやってて少年サッカーに入ってた時期もあったな。
大輔は中学卒業後からほとんど見かけなくなって、そのころ地元の組に出入りしてたって聞いてる。逮捕されたとか薬とか、いろいろ話は聞いてたけど、20年ぐらい前にバッタリ出会ったことがあった。近くの保育園の運動会に、大輔が当時の嫁と一緒に来ていて『自分の子供も通ってて、保護者会の会長やってるんですよ。今は真面目に商売やってるんで、今度飲みに来てください』って言われたんだ。立ち直ってよかったと思ってたんだけど、また事件起こしちゃったか……」
井上容疑者の実家には、両親が弟夫婦と住んでいるようだ。インターフォンを押すと反応があった。事件のことで取材したい旨を告げ、「お母さまですか」と尋ねると、年配の女性の声でこんな答えが返ってきた。
「私は家人ではなく、留守を預かってるだけで何もわかりません」
※「集英社オンライン」では、今回の事件や未解決事件・失踪事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
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