〈トップ棋士対談〉里見女流五冠＆藤沢女流本因坊「恋愛では先の手は読めません（笑）」…好きな男性のタイプ、オフの過ごし方、賞金の使い道は？ 盤上を離れた若い女性としての素顔

――おふたりはこれまでたくさんのタイトルを獲得してきました。賞金が入ったらどのように使いますか？

里見香奈（以下、里見）　特にどう使うということはありませんね。
本当に、ひたすら将棋が強くなるためだけにやっているので、賞金どうこうというのは二の次って感じで。
あ、でも本とかパソコンとか、将棋に必要なものは買います。あとは家族で温泉旅行に使ったり。

藤沢里菜（以下、藤沢）　私は、うーん……やっぱり焼肉とか美味しいものを食べるのに使ってるような気がします。

里見　私も焼肉やお寿司が好きなので、オフの日にゆっくり食べに行くことはあります。というか、趣味らしい趣味があまりないんですよね……。
年齢を重ねて健康にも気をつけるようになったので、自炊でバランスのいい食事をつくることもあります。そんなに手の込んだものじゃないですが。
藤沢さんはどのようなオフを過ごしていますか？

藤沢　暇なときはYouTubeを見てますね。あとドラマも見ますよ。恋愛モノとかも。

――好きな男性のタイプは？

里見　小3くらいのときに（ドラマの）『GTO』の再放送を何回見たかわからないくらい好きで、そのときの反町（隆史）さんがすごくカッコよかったんですよね。
好きな男性のタイプでいうと、男らしく引っ張ってくれる人かな。

藤沢　私は誠実な人、真面目でストイックな人が好きです。

里見　芸能人でいうと？

藤沢　好きな芸能人は俳優の町田啓太さんですね。

――学生時代の恋愛はいかがでしたか？

里見　してこなかったですね。だからいまだに苦手だったり……。

藤沢　プロを目指してましたから……。

里見　避けちゃいますよね。恋愛する時間があるなら今やるべきことがあるだろうって。

藤沢　さっき公園で撮影していたときに中学生くらいのカップルがデートしてて。ああいう時代……私たちにはなかったですよね（苦笑）。

里見　なかったです（笑）。後悔はないですけど、うらやましい気持はあります。青春いいなぁみたいな。

――恋愛は同じ業界の方としたいと思いますか？

里見　私はどちらでもいいです。一般の方なら将棋をやっていることに理解してくださる方がいいかなとは思います。結婚しても将棋はずっと続けていきたいので。

藤沢　まったく一緒です！ ちょっと特殊な世界だから仕事に理解があることが大事ですよね。

里見　結婚したら「女性は家に入れ」と強制してくる人は難しい……。

藤沢　そうですね。家事や子育ても半々がいい！

里見　夫婦で助け合いながらって大事ですよね。

藤沢　囲碁界は夫婦ともに棋士の場合、子どもの面倒を見られるようにリクエストがあれば同じ日に手合い（試合）をつけないようにしてもらえますよ。

里見　すごい！ 将棋界にもカップルはいますが、ふたり同じ日に手合いがつくこともあると思います。

――将棋や囲碁と同じように、恋愛では何手先まで読むんですか？

里見　それ、すごく言われます。でもその偏見はすごく嫌です（笑）。盤上以外はまるで読めません！

藤沢　ほんと思うようになりませんよね（苦笑）。

――藤沢さんは囲碁ではあんなに緻密なのに、スリッパのまま日本棋院から帰ろうとしたりと逸話が多いですよね。

藤沢　恥ずかしい（笑）。財布も何個失くしたわからないくらいで……。里見さんは忘れ物ないですか？

里見　けっこう確認するからあまり忘れ物はしないですね。藤沢さんはそれぐらい囲碁に集中してるってことだからスゴイですよ。

藤沢　いえ、ただの性格の問題だと思います。でも失くした財布は全部戻ってきていますよ。日本が平和でよかったです（笑）。

ふたりともプライベートは、ごくごく普通なひとりの若い女性。しかし、本来の姿は天才たちが集う棋界の第一線で戦うプロ。最終回では勝負の世界で生きる厳しさを聞く。

取材・文／内藤由起子
集英社オンライン編集部ニュース班
撮影／小木寛一
撮影協力／アカシヤ書店