掘り出し物だらけで話題豊富な官公庁オークション

若者のクルマ離れが叫ばれるより前の時代に青春を過ごした“ぎりバブル世代”の僕は、車を人生における三種の神器の一つと信じて疑わない。
学生時代から50を過ぎた現在に至るまで何台も乗り継いできたが、車はやはり高価なものなので、購入する際には吟味を重ね、コレと見定めた一台を末長く乗る決意のもとに迎え入れてきた。

しかし昨年、一台の車を軽く下見しただけで即決購入した。
友人の伝手で紹介してもらった激安の中古軽バンを、普段乗る車とは別の“遊び専用車”としてゲットしたのである。

話題の官公庁オークションってどうやるの? 2台の車に入札したまあまあ面倒な経緯と意外な結果報告!_1
遊び専用車として入手したスズキ・エブリイ
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目的は、50代の自分の新たな趣味にしようと思い立った、車中泊専用車にするため。
その車を手に入れると、僕は自力でさまざまにカスタムを施し、車中泊仕様にしつらえた。
そしてその車で、何度も旅に出た。
その経験があまりにも楽しかったため、僕の車に対する認識はこれまでとは幾分変化した。

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カスタム後の僕の車中泊専用車

以来、中古車サイトやオークションサイトに夜な夜なアクセス。
衝動買い可能な範囲の低価格車を検索しては購入シミュレーションをし、入手後のカスタムや遊び方をあれこれと想像するようになった。

苦労して作り上げた現在の車中泊カーに愛着はあるが、早いうちに下取りに出し、また新たに手に入れたカスタムベース車で、次のアイデアを試してみるのも悪くないと思っているのである。

そんな僕がここのところチェックを欠かさないのが、官公庁オークションだ。

官公庁オークションとは、国や自治体が保有する不用品や没収品、不動産などを競売で売却する制度のこと。
かつては所定のオークション会場のみでおこなわれていたが、近年はオンライン上を中心に実施されるようになっている。

車の場合は一般的な商用車両に加え、消防車や救急車などの特殊車両、バスやトラックなどの大型車、そして思わぬ外国車(きっと差し押さえられた車なのだろう)まで、出品の幅は広い。
売れ線車種ではないため、一般の中古市場ではあまり見かけない珍車や、年式の割に走行距離が異様に少ない車などが出ていたりするのも、官公庁オークションの面白いところだ。

ネット上の官公庁オークションは、KSI(紀尾井町戦略研究所株式会社)という会社が委託を受けて運営しているが、政府の公正な競争入札制度に基づいているため、買い手側にとっては信頼性が高く、相場より低価格で商品を入手できる場合もある。
出品物はいずれも国や地方自治体が使用および管理していたものなので、概して状態が良好だし、もし不具合な点などがあっても包み隠さず申告されているので安心感も大きい。

その一方で、入札に参加する際には所定の手続きを経る必要があるため、やや面倒臭かったりもする。

官公庁オークションには2種類の形式があり、出品物ごとにいずれかがあらかじめ指定されている。
一つは、定められた期間中に一度だけ入札することができる “入札形式”。
もう一つは、期間内であれば何度でも入札できる“せり売り形式”である。
ヤフオクをはじめとするオークションサイトの一部やメルカリなどで用いられる、出品者側があらかじめ定めた金額で一発落札できる、“即決形式”は設けられていない。

すぐに参加できる民間オークションとは違い、前述のとおり官公庁オークションはいくつかの手続きを踏まなければならないのでややハードルが高く、僕はまだ入札まで至ったことがなかった。
だが今回、満を持して入札参加してみたので、その手順と顛末を公開してみたいと思う。