「好きじゃない」と思うと損をする

「嫌い」「苦手」のレッテルがはられた情報に対しては、脳のパフォーマンスが落ちますから、苦手意識は極力もたないようにしましょう。

脳は目や耳など五官から得た情報を取り込むと、その情報を理解して判断し、思考して記憶しようとします。取り込まれた情報が最初に到達するのは、さまざまな神経回路からなる「A10神経群」と呼ばれる部分です。

A10神経群には、好き嫌いをつかさどる「側坐核」、危機感をつかさどる「扁桃核」、言語や表情をつかさどる「尾状核」、意欲や自律神経をつかさどる「視床下部」などがあります。

A10神経群は、いわば感情をつかさどる中枢で、さまざまな情報が通ったときに、「好きだ」「嫌いだ」「感動した」「おもしろい」といったレッテルをはります。

すなわち、脳が理解したり、思考したりする情報は、すべて感情のレッテルがはられるわけです。このことからわかるのは、理解力、思考力、記憶力などの脳の力は、いずれも最初の感情に大きく左右されるということです。マイナスのレッテルをはられた情報に対しては、理解、思考、記憶の点で脳のパフォーマンスは落ちてしまうのです。

勉強でも仕事でも、苦手意識をいだいたり、嫌だなと感じたりすると、効率も悪くなり、うまくいかないものです。

「嫌い」とか「苦手」という感情は、脳の動きにブレーキをかけてしまいます。「嫌い」「苦手」というものであっても、「おもしろそう」「楽しそう」と思うようにし、その工夫をいかにするかが、理解力や思考力、記憶力を高める鍵を握るのです。